3.大気電気
UFO現象の説明で,UFO研究初期の頃から持ち出されていた大気電気に関する現象は,球電である.
例えば,気象局が球電に関するかなり広範囲に及ぶ考察を行ったが,1949年のプロジェクトグラッジ報告6)にそれが収録されている.それによれば,球電は,その報告中で考察された事例(約250)の大部分を説明できないだろう,と結論されている.
翌年,ある著者が,UFO報告者は球電を目撃したのかもしれない,と主張したが,フィリップ・J.クラスが球電説を取り上げるまでは,誰もこの仮説を重視しなかった.
クラスの仮説は雑誌で取り上げられて注目されたが,彼の主張には十分な科学的裏づけはなく,メンゼルの以前の著作と同程度の影響力をもちそうになかった.
それで私は,ここでクラスの意見に対して詳しい反論は行わない.それについては,3月にカナダ航空宇宙協会が行ったモントリオールでのUFOシンポジウムの講演で,かなり詳しく述べた.
クラスは,球電やプラズマ,そして,興味深いUFO事例について,すでにわかっていることをほとんど無視して,おかしな意見を披露している.
このようなやり方は,UFO問題に光をあてるような,科学的に十分貢献するものとは言い難い.
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