1.ケース16.ニューヨークシティ,1966年11月22日 考察
「UFOはなぜ都市近郊に現れないのか」といった疑問を抱く懐疑主義者は,このような事象に遭遇した場合,ほとんど例外なく「もしそれが本当なら,なぜ何百何千の人が報告しなかったのだ」などといって反論するだろう.
後者については二つの理由で説明できるだろう.まず都市の道路上で上空を見ている人がそんなに多くいるだろうか,ということである.上空で大きな音でもしない限り,都会の人間の多くはそんなに長時間空を眺めることはないはずだ.めったに空を見上げないだけでなく,都市部では上空の視野が制限されているため,UFOを見つける機会が減少することになる.つまり農民,森林監視員,あるいは広々とした田舎の道路をドライブする人が見ている景色とはかなり状況が異なるのである.
それに,UFOの研究では常に“目撃”と“報告”を,はっきり区別する必要がある.目撃者が新聞や警察,大学などの公的機関に届けてはじめて,目撃は報告となる.これまでの世界のUFO研究ではっきりしているのは,嘲笑を恐れるといった心理学的な要因により,目撃者の大半は報告したがらない,ということである.
我々は,知人に「異常な物体を見た」と話している人がいる,という形で情報を得ることがよくあるが,その中には非常に価値のある目撃もある.これは,嘲笑を恐れて,多くの重要な目撃事件が公の報告経路にのらないことを示している.
1966年11月22日のニューヨークシティでの報告に戻ろう.目撃者から聞いたNICAPの情報と私がライクから直接聞いた内容を合わせると,これは現実に起きた事件であり,信頼できる目撃者による,既知現象で説明不能の目撃だと認めざるを得ない.
物体は滞空していた位置から移動を開始するとすぐに直線的に急上昇し,そのあと東に向かった,とライクは言った.彼と同僚は物体が国連ビルの上空にあったと推測しているが,距離の見積もりに誤差があるかもしれない.物体の形状と動きから考えて,ヘリコプター,飛行機,気球などは除外できると思われる.
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