2.ケース27.アリゾナ州ユマ,1953年2月4日
気象局の観測員であるS.H.ブラウンは1953年2月4日山岳部標準時午後1時50分,ユマ上空6,000フィートの測風気球を追跡していた.経緯儀の視野を1個の正体不明の物体が通過し,さらにもう1個が通過した.それは先の事例の場合とやや似ていた.
私は,ユマ観測所の気象学者V.B.ゴッテンから,この目撃事例を説明してもらった.その内容は要約しても長いので,ここでは省略させていただく.
どちらの物体も角直径は約1分で,「ほぼ円形,表面は光沢のない純白で,薄い霧の中で各々の輪郭は明瞭に見えていた」ということだった.
一つ目の物体が仰角53度,方位角107度の経緯儀の視野に入ってきて,曲線を描いて上昇し西の方に向かった.その約20秒後,二つ目の物体が視野に入ってきた.2回ほど視野から出たり入ったりして,一つ目の物体と合流した.その後しばらく,ブラウンは二つの物体が高度と方位角を変えながら一緒に移動している様子を続けて観察できた.
最後に,南南西の巻雲のところで物体を見失ったが,観測時間は(13時50分から13時55分までの)5分間だった.彼は気球追跡のためにストップウオッチを持っていたのでその時間を測定できたのである(正体不明の物体を観測したため気球の観測の方はできなくなったが).
観測を終えた時には,経緯儀は仰角29度,方位角204度を指していた.
考察
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