なぜ,UFOはレーダーに捕捉されないのですか?
このような質問をする懐疑的な人は(多くの人がそうだが),しごくもっともな質問をしていると言える.これほど多くのレーダーが世界中,特にアメリカに設置されていることを考えると,人工飛翔体が我々の領空を侵犯しているのであれば,レーダーに捕捉されるはずだと考えるのはもっともなことのように思える.
実際にレーダーはUFOを捕捉している.レーダーが一般的に使われるようになったこの20年の間,ずっとレーダーはUFOを捕捉し続けているのである.
UFO問題は他にも誤解されていることは多いが,レーダーUFOに関しては,正しい理解を妨げる誤った情報がたくさん流されている.他のカテゴリについても同様であるが,そのような誤解を正す唯一妥当な方法は,個々の事例を詳しく考察することである.スペースの関係で,国内外のレーダーUFO事例すべてを考察できないが,確かにレーダーUFO事例は発生しているのである.
1.ケース35.日本,福岡,1948年10月15日 考察
2.ケース36.オーストラリア,ナウラ,1954年9月 考察
3.ケース37.南アフリカ,ケープタウン,1953年5月23日 考察
4.ケース38.ワシントンD.C.,1952年7月19日 考察
5.ケース39.ミシガン州ポートヒューロン,1952年7月29日 考察
6.他にも,既知現象で説明できない多くのレーダーUFO事例が存在する.参考文献7にはそのような例が多数記載されている.
ホール10)はレーダー目視捕捉事例を約60例挙げている.1964年12月19日,パタクセント川のNAS(海軍航空基地)の事例については私も調査した.
その事例では,不明目標が時速約7,000マイルの推定速度で,3度続けて通過している.これは興味深い事例だが,公になった理由も興味深い.管制塔の職員は低く垂れ込めた雲のため目撃できなかったので,レーダー目視捕捉事例ではないが,私はこの事例を既知現象で説明できない.
地上反射のダクティング,近くのレーダーによる干渉,レーダー機器の内部電子信号によるもの,エンジェルや昆虫(弱い反射)等,レーダースコープに誤った反射を表示する原因はたくさんある.したがって,個々の事例を個別に調査しなければならない.
公式ファイルにある多数のレーダーUFO事例を調べたが,関連する定量的側面を見落とし定性的に簡単に説明をつける傾向がなければ,レーダーによる識別不能事例はおそらくもっと増えるだろうという印象を受けた.それでも公式ファイルには識別不能と判定した事例が非常に多いのである.
UFOの記録で有名な事例に,メキシコ湾上空でB-29が,複数の不明目標を機上レーダーが捕捉し,同時に乗員が目撃,物体群はB-29の下方を通過した,というものがある4,10,25).この事例は公式ファイルでは今も識別不能とされている.
もう一つ有名な事例として,ハイネックが“私が調べた中でもっともやっかいなものの一つ”と述べているものがある.1953年8月5日にラピッドシティとビスマルクの間で起こったレーダー目視捕捉事例である.この事例は,地上レーダーと機上レーダーで捕捉され,地上からも航空機からも目撃されているが,かなり複雑なので詳細は述べない.
これだけ述べれば,これまでに時々UFOがレーダーで捕捉され,同時に目撃されているということは理解していただけたと思う.
レーダー(特に最新の優れた性能のレーダー)がUFOを捕捉したという例がたくさんあるのに,なぜそういう話が聞こえてこないのか,という疑問はもっともである.
答えのいくつかはこの議事録の中でロバート・M.L.ベイカー・Jr.博士が述べている.それ以外にも理由を説明できるが,ここでは省略する.
|