12.ケース21.ニューメキシコ州フォート・サムナー,1947年7月10日 考察
メンゼル(参考文献24,29ページ)はこの目撃を次のように説明している.
「一種の,水平方向の蜃気楼であり,おそらくは日光で銀色に輝いた,きわめて明るい雲であろう──その雲自体は,手前の暗い雲で見えないはずのものであった」
要するに“蜃気楼の屈射により,遠くの物体(ここでは“明るい雲”)が,近くの物体(“暗い雲”)よりも手前に,はっきりと重なって見えた”と言いたいようである.だがこれは誤った考えだ.
もし光学的歪みのせいで遠くの明るい雲が見えるようになったのなら,その間の雲の像が見えるということは起こりえない.
さらに言えば,南西部の砂漠地帯の午後に特有の極めて不安定な気温減率の状況下でも,弱い蜃気楼しかできず,メンゼルが言うような強い蜃気楼はできない.
縦方向,横方向への急速な移動は蜃気楼では見られない.したがって,この目撃に対するメンゼルの説明は受け入れられない.
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