4.ケース34.マサチューセッツ州ボストン,1954年6月1日 考察
現在私は目撃の詳細を聞こうと,クラトビル機長の所在を探しているところである.しかし,その日の4件のニュース記事では,主な点では一致した内容だったので,それらを分析に用いるのは問題ないと思われる.
その地域における事件当時の高層風のデータから,上空では西南西からかなり強い風が吹いていたことがわかる.クラトビルの新聞でのコメントでは「気象観測用気球だそうだけれど,風に逆らって飛ぶ気球なんて初めて見たよ」と述べているが,もっともである.
TWA機の飛行速度は時速約300マイルだった.だとすると,乗員は約10分間目撃していたのだから,その間に約50マイル飛行したことになる.気象観測用気球をそんなに長時間目撃するのは不可能である.
さらに,気球を放出したとされる時刻から約1時間半後のことなので,小型の気球は,すでに破裂しているか目視可能な高度を超えていただろう.
それに,地上から20,000フィート上空では風は南西から吹いていたのだから,グルニエ空軍基地から放出された気球が,TWA機の乗員が上方に“大きい白色の円盤状物体”を発見した位置まで運ばれることはないのである.
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