4.ケース29.ニューメキシコ州アレイ,1949年4月24日
1949年4月24日の午前中,チャールズ・B.ムーア・Jr.は4名の海軍下士官らとともに,ホワイトサンズ実験場でスカイフック気球の放出に先立ち,測風気球の観測を行っていた.移動する気球を下士官の一人が観測していたが,その時ムーアは経緯儀の方向から大きく離れたところに,気球らしき白い物体があるのに気づいた.
ムーアから直接聞いた話では,彼は観測者が気球を見失ったと思ったそうである.ムーアは経緯儀を取り上げて,彼が見つけた“気球”にスコープを向け25倍で観測したところ,楕円型の白い物体で,北東方向に大きな角速度で移動していることがわかった.ストップウォッチと記録用紙を用意していたため,彼らはこの目撃に関して半定量的なデータを得ることができた.
ムーアは経緯儀を手動で追跡するためバーニヤドライブを外し,物体が南西から北東に飛行するのを追跡した.最接近時には,その物体は秒速約5度で移動していた.ムーアがその物体を北東方向遠方で見失う直前,その物体は上昇しているようで,仰角はかなり増大していた.
その物体は水平方向の長さが垂直方向の厚みよりも2,3倍大きかった.何か識別できるものがあったかもしれないが,ムーアにそれがわかるほどはっきりと観察できなかった.
南西から北東に強い風が吹いていて,それに物体が流されているという可能性は非常に低かったが,それを確認するため別の気球が放出された.だが高度93,000フィートまで風は物体の経路とほぼ直角に吹いており,しかもかなり弱いものだった10).
その物体の直径は角度にして1分程度だった(25倍の経緯儀の場合,ムーアには月の見かけの大きさの0.75倍ぐらいに見えたと思われる).
考察
|