5.ケース30.南極,アドミラルティ湾,1961年3月16日
気象学者によるUFO目撃のリストに,私のファイルにある同様のケースを追加すれば,かなり大きなものとなるだろう.ここで,UFO現象が世界的規模で起きていることをさらに示すケースをもう一つだけ紹介する.
1961年3月16日午後6時15分頃,南極で米艦艇グレイシャーに乗船していた気象学者と乗員たちが発光する異常な飛行物体を目撃した事例である.私はつい最近フランスのUFO研究者ルネ・フェーレを通じ,乗艦していたブラジル人気象学者ルーベンス・J.ヴィレーラによるこの目撃のかなり詳しい報告を入手した.実はヴィレーラの以前の報告は見ていたのだが,あまり注目していなかった10).海抜1,500フィート付近を覆う下層雲があったというたいへん重要な情報がなかったからである.
艦橋にいた3名の船員とヴィレーラの目に飛び込んできたものは,“空を横切る複数の色の発光物体”だった.彼らはしばらくはその物体を異常な流星だと考えた.
「物体は卵型で,色は最初全体的に赤味を帯びており,水平線上約50度の高さを水平に真っ直ぐ北東から南西に低速で移動していた.物体の前部から後方に複数の色のまっすぐな“光線”が何本も外側に発散する角度で延びていた.光線の色は変化したが,主な色は緑,赤,青だった.特に目立っていたのは,オレンジ色の長い軌跡である.それは中が空洞だということがはっきりわかる管のようなもので,ネオン管に少し似ていた」
ヴィレーラはさらに次のように書いている.
「すると,突然その物体は二つに分裂した.爆発ではなく,制御されたかたちで,同じ形状に分裂したのである.一方がもう一方の後ろにあった.どちらも最初と同じ卵型をしており,外側に向かって水平のV字型の光線を放っていた.そして物体は少し強く発光し,青や白に色が変化した後,完全に消滅してしまった.突然消失したのである」
彼の報告では,物体の輪郭がぼやけておらず,はっきりしていた点が強調されている.ヴィレーラの報告によると全部で6名がデッキ上にいて,この驚くべき現象を目撃したということである.
約10秒もの間この現象が続いたことは注目すべきである.物体は海面から約1,500フィートの高度にある雲の下を移動しており,仰角が50度と報告されているところから,物体までの距離は約2,000フィートだったと推測される.ヴィレーラは,分裂前は小型飛行機程度の大きさのようだと感じていた.
考察
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