1.概説
UFO報告はたいてい,空中で目撃された物体についてのものなので,大気物理学による説明が数多く行われてきた.過去20年以上にわたり,公式説明の多くが,観測者がありふれた大気現象を誤認したものであるという前提に立ったものであった.
ハーバード天文台前台長のD.H.メンゼル博士はUFOに関する2冊の著書24,25)で,UFO報告の説明に,大気物理学,とくに気象光学を多用しすぎている.
その後,“Aviation Week”の編集者,フィリップ・J.クラスは,特に興味深いUFO報告の多くが,球電のような異常な大気プラズマによるものであると述べている36).
それ以来,多くの研究者が,大気物理学でまだ完全に理解されていない大気現象が存在し,それが最終的にUFOを解明するものになるだろう,と考えてきた.
以後私はそういう考えに非常に注目してきた.不正確な報告のごく一部に大気現象の誤認があるのは事実であるし,観測に慣れていない一般人は,天体現象(特に流星)をUFOだと判断してしまうのも事実である.
しかし,これまで強調してもきたし,また以下に詳述するように,我々はUFOを天文学的にも気象学的にも説明できていないのである.
この点をもう少しはっきりさせるために,過去の気象光学,大気電気学,レーダーの伝播異常でUFOの正体を解明したとする主張を見ていくことにする.
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