ロバート.M.L.ベイカー・Jr.博士
Dr. Robert M. L. Baker, Jr. (1968年当時の経歴)
ベイカー博士は,1954年にUCLAで最優秀の評価を得て物理および数学の学士号を取得し,Phi Beta Kappaの会員にも選ばれた科学者で,現在36歳である.1956年には物理学修士号を受け,UCLA物理賞を受賞.1958年には工学の博士号を取得した.宇宙航行学の分野における我が国最初の博士号である.
1959年から63年までUCLAの天文学部で教えていたが,その後UCLAの工学部で宇宙航行学,流体力学および構造力学を教え,現在に至っている.
博士は科学,工学の様々な分野で国際的に認められた専門家であり,国の宇宙計画の中で利用されることになったレーダーデータや力学的計算における天体の定数,自由分子流の抗力を使った予備的な軌道決定法にも貢献している.水中翼船の設計の分野におけるユニークな理論も発表している.
また,民間企業に対して,宇宙航行学,物理学,流体力学,数学およびコンピュータプログラムの設計に関する研究プログラムを発足,指揮管理しており,産業,軍事両分野のプロジェクトで科学的,工学的な問題提起および分析に寄与している.
ベイカー博士の企業との関わりは,1954年にダグラス社の顧問となったのが最初である.1957年から1960年までは,Aeronutronic-Philco-Fordの上級科学者として活躍.空軍にいた1960年から1961年には,多数の機密プロジェクトの指揮をとった.1961年から1964年まではロッキード社宇宙力学研究センターの所長として,約25名の様々な分野の科学者を指揮していた.1964年,ベイカー博士はコンピュータ・サイエンシズ社(CSC)に研究,分析分野の副部長として就任し,後にCSCのシステム科学部の上級科学者となった.現在,博士は空軍,海軍,NASAのいくつかのプロジェクトに参加している.
1961年には,合衆国空軍の代表としてスウェーデンのストックホルムで開かれた国際宇宙飛行連盟(IAF)の会合に出席,1962年には国際理論・応用力学連合欧州会議に合衆国代表として出席し,1965年,1967年にはモスクワで開かれたソ連科学アカデミーの天文学会議に招かれている.
また,彼は1965年には青年商工会議所(JCC)からその年の傑出した青年に選ばれた.1963年から1964年まで,米国航空宇宙学会の宇宙力学技術委員会の議長を務め,現在はコンピュータ科学技術委員会のメンバーとなっている.
さらに,1968年以降,“Journal of the Astronautical Sciences”誌の編集者も務めている.1961年の国際宇宙飛行連盟紀要の共同編集者となり,1960年に出版された宇宙力学についての初めての教科書“An Introduction to Astrodynamics”の監修にもあたった.ベイカー博士自身も4冊の本および70以上の論文(附録2参照)を出している.
博士は,米国科学振興協会,Phi Beta Kappa,Sigma Xi,Sigma Pi Sigma,米国宇宙航行学会(特別会員),英国惑星間協会(特別会員),米国航空宇宙学会(準特別会員,コンピュータ科学技術委員会のメンバー),英国天文学会(特別会員),米国天文学会,米国物理学協会,隕石学会の会員でもある.
彼の機密取扱資格は“Top Secret”である.
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