8.有用なUFOの資料
委員会の方々がこれらの事件をさらに研究することを期待して,重要なUFO文献をいくつか紹介する.これらはすべて私の研究で役に立ってきたものである.
(科学者団体にはほとんど知られていないが)非常にすぐれたUFO文献の一つはR.H.ホール編集,NICAP発行“The UFO Evidence”10)である.これは1964年までにNICAPが集めた750のUFO事例をまとめたものである.私はこの文献に掲載されている事例を多数ダブルチェックしたが,その信頼性は非常に高かった.NICAPは続編の編集準備段階であるが,1964年から68年までをカバーする予定である.
ブローチャーの参考文献8(おもに我が国の全国紙を情報源としたもの)は1947年夏の2,3週間に発生した大量の目撃報告を集めた数少ない情報源の一つである.UFO問題が一般的になった初期の時代を調査する上で不可欠なものである.
参考文献7も入手可能な非常に重要な情報源である.レオン・デビッドソン博士の働きかけでモス小委員会が参考文献6を限定的にでも入手できるようにしようとしたが,残念なことにこれは簡単に入手できない.私はデビッドソン博士のお陰で,最近,2年前にブルーブック本部で見られなかった部分を詳しく調べることができた.
ルッペルトの1956年の本5)は,当時初めて読んだときは信じてはいなかったが,私の個人的調査によりそれが非常に信頼できる内容であることがわかった.この本の情報が事実に基づいたものであるということは,何年もの間信じてはいなかった.だが,参考文献5,6や他の情報源は,ルッペルトの本が非常に信頼できることを証明している.
同じくキーホーの本3,4)も,最初は信頼できるとは思わなかったが,実際には情報源としては非常に優れたものである.科学者としての感想であるが,もしキーホーの本から数多くの直接的引用とサスペンスに満ちた脚色を除いたのなら,もっと信頼しやすいものとなったであろう.しかし調べてみると,キーホーの本は非常に正確だったのである.
科学者の中には,彼の論調だけでなく科学解説を嫌悪している人もいる.だが,彼の著作の中のUFO事例の信憑性の高さは認めなければならない(私が集めた事例もそうであるが,UFOのような取り扱いの難しい問題では100パーセントの正確さは期待できない.90パーセント以上正しいと思われるものについては,関心をもっていただきたいと思う).
オルセンは幅広い情報源から160件ものUFO事例を集めた優れた文献を発行している11).そのうち32件は“プロジェクトブルーブック”の公式記録に基づくもので,非常に興味深い.
ニューハンプシャー州エクセター近郊の狭い範囲で,短期間に多数の目撃情報が集中した事例を取り上げた本もある.フラーのエクセター事件に関する著作12)である.私自身,目撃が特に集中した1965年9月3日の目撃情報の特徴を調べ,その他の部分も間接的に調べてみたが,私としては参考文献12を重要な基本資料のひとつとしてあげるのにやぶさかではない.
また,我が国で最も古く,現在も活動を続けているUFO研究団体APROの設立者ロレンゼン夫妻の著書も価値のある事例を含んでいる13).夫妻はその著作と,APROの会報で南米諸国の数々の珍しい事例を紹介している.これらの事例については私はまだ十分検証してはいないが,紹介されている事例の中には極めて信頼性が高いものがあると確信している.
特に異常性の高い事例,たとえば着陸した円盤とヒューマノイド型搭乗者のような事例に関しては,NICAPよりもAPROの方が詳しく調査してきた.NICAPと同様私も,意図的にそのような事例を取りあげるのを避けてきた.報告はあまりにも異常であり,そのような状況では機械的な物体を近距離で目撃するよりも,はるかに興奮してしまうはずである.
このようなUFO搭乗員の問題は以下では取り上げない.ただし,一応信頼できそうなその種の報告の総数が無視しえないほど大きい(1954年フランスのUFOウェーブでは100を優にこえる事例が中部フランスで発生している)ということだけは述べておく.
このような報告を評価する場合,専門家による心理学的な分析が必要である(専門的な分析であって了見の狭いものではない).インタビューの結果,私はUFO事例の中にはヒューマノイド搭乗者の事例が存在することを受け入れるようになった.私は,ヒューマノイドの存在がUFOの謎の中で最も重要だと考える人たちが間違っていると主張するつもりはない.この2年間,私は科学者仲間に関心をもってもらうために努力してきたが,搭乗者目撃の部分についてはあまり触れないようにしてきた.1時間程度の学会で,1度や2度その点に触れたことがあるが,UFO搭乗者について語ると得るものより失うものが多いと感じたからである(搭乗者の目撃は,手の込んだスペースブラザーとコンタクトしたという報告と区別しなければならない.スペースブラザーの話については,私の知識およびインタビュー経験では,まったく信用できないからである.しかしながら,信頼できる報告によれば,搭乗者と思われるものとコンタクトする事件が起きているらしいのである.この点については詳細な情報をもっているわけでもないので,これ以上は述べない).
外国でのUFO文献の信頼性を評価するのは難しい.ミシェル13)は1954年の秋にフランスで起きたUFOウェーブ時の記録を集め,ニューヨークのCSI(民間円盤情報組織)のスタッフが英語に翻訳した.CSIは現在活動を休止しているが,かつては非常に生産的な団体であった.
私は1954年のフランスUFOウェーブのことを直接知っている人々に話を聞いているが,彼らはその驚くべき状況を証言している.ミシェルの初期の本14)は,英語版も入手可能で,時間的にも地理的にもずっと幅広く,ヨーロッパにおけるUFO目撃を扱っている.最近出版されたばかりの文献15)では,1967年の夏から秋にイギリスのストローク・オン・トレント周辺の比較的狭い範囲の中で起こった約70件のUFO目撃を扱っているが,その異常性が十分に記録されている.
外国のUFO情報誌は多数あり,世界中のUFO情報を数多く紹介しているが,ここでそれらの雑誌を羅列することもないだろう.それについては,国内の小規模な団体の機関誌も含めて,ヴァレによる2冊の重要な本16,17)に掲載されている.
1947年以前のUFO目撃に関する情報は,ロアーとデナルト18)が最近調査している.この時期の情報が信頼できるものになるには,まだまだ多くの学術的・科学的な研究が必要だが,私は非常に重要なものとなる可能性があると考えている.
もう一つの情報源は,チャールズ・フォートの著書19)である.この著書に掲載されている多くの事例は,現在理解されているUFO目撃のカテゴリに含まれるものである.この興味深い著書は,古い目撃例を持ち出す際によく利用されるが,豊富な情報源という正当な評価は受けていない.残念なことであるが,フォートの著作は,真剣に取り上げるほどの価値はないと考えられているのである.
膨大な情報が収められた彼の著作が,科学的価値があることが理解されず放置されたものであることに気づくのに,私もかなり時間がかかった.19世紀の情報を元に書かれたフォートの著作を研究に含めずに,奥の深いUFO研究を行えないであろう.
有用なUFO文献紹介の最後に,最近出た二つの優れた著書(参考文献紹介がメインのものではない)を紹介しておこう.スタントン20)とヤング21)の著書である.
UFO問題を真剣に考察したときに,偏見に基づく質問が投げかけられる.次に,それに対する明確な反論となるUFO事例を具体的に検証してみよう.
|