1.ケース9.ニューメキシコ州ファーミントン,1950年3月17日 考察
以前は新聞の一面を飾ったのに,今では忘れかけられているこの同時多数目撃事件は,爆発したスカイフック気球が原因であると説明されている25).スカイフック気球が低温の対流圏上層で破裂したため,無数の小さな破片に分裂した,というものである.
しかし,高度40,000〜50,000フィート上空の透明プラスチックの破片を肉眼で視認し,しかもそんな遠方を小さな角速度で移動する物体を高速移動する円盤型物体と誤認したのだという主張は,とうてい受け入れられるものではない.
私はさらに詳しい情報を得るべく,まずホロマン空軍基地に,次に海軍研究局に連絡を取った.これらは共同でアラモゴードのスカイフック気球放出の全データを保管しているはずだからだ.だが,事件のあった当日およびその前後に,ホロマン基地の地域だけでなく他の地域においても,スカイフック気球や他の実験用気球の放出はまったく記録されていなかった.
目撃を説明するものとして,目撃者が単に風に流される綿を見ただけだという話があったが,この説明は合理的なものではない.この話は目撃者の話として発表されたものだが,地方紙の某編集者が実際に追跡調査したところ,警察が適当に話したものを別の記者が小耳にはさんだものに過ぎなかった.
私がこの事件を調べた限りでは,1950年3月17日に多数の円盤型物体が通常では考えられない動きで飛行し,それがファーミントンの多数の住民に目撃されたことに対して,合理的な説明はなされていない.
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