米下院UFOシンポジウム 下院議員と科学者による“国策としてのUFO研究”討論

ドナルド・H.メンゼル博士



メンゼル博士

メンゼル博士.UFO地球外仮説を徹底的に批判.その後政治的理由でUFO否定論を展開していたことが明らかになる.

Dr. Donald H. Menzel (1968年当時の経歴)

経歴
 ドナルド・メンゼル博士はコロラド州出身で,1924年にプリンストン大学で博士号を取得した.1年後,アイオワ大学で講師,その翌年オハイオ州立大学で助教授.1926年リック天文台副台長.リック天文台では大型望遠鏡による多くの観測プログラムに参加.だが彼の主要な研究は,皆既日食時に撮影された写真による太陽の大気スペクトルの研究である.1930年と1932年の皆既日食の観測に参加している.
 1932年秋,ハーバード大学就任.以後彼は同大学に在籍.ただし,第二次大戦時3年間中佐として海軍に在籍していた期間を除く.彼の研究は理論物理学から理論天文学まで広範囲に渡る.特に関心があるのは太陽に関するものであり,その分野の権威である.彼の研究は理論と観測に基づいたものである.1936年,ソ連での日食時,ハーバード−MIT日食観測隊の責任者.他に1918,23,54,59,61,63,67年の皆既日食を観測している.
 皆既日食外縁部のデータを得るために,メンゼル博士はアメリカで初めてコロナグラフを開発,コロラド州クライマックスに観測所を設置.この観測所は高々度天文台として知られている.最初はコロラド大学とハーバード大学共同で運用されていたが,現在はコロラド大学が管理している.クライマックスの観測所で得られた太陽活動の観測データは,即座に利用されている.特に電波伝搬に関する問題にである.
 第二次大戦後,太陽活動のより完全な記録を残し,この分野の研究を拡大するために,メンゼルは空軍に第二の太陽観測所を設置するよう提案した.数年間実地調査した後,ニューメキシコ州アラモゴード近く,ホロマン空軍基地やホワイトサンズ実験場を見渡せるトゥラロサ低地5,000フィートの山にサクラメントピーク天文台がつくられた.16インチコロナグラフを含む大型観測装置はすべて,高々度天文台の科学者,ハーバード大学の支援協力で設計,製作された.1956年に空軍の助成金でテキサス州フォートデービス近くに太陽電波天文台が完成.これは太陽が発する電波を記録するものである.これらの天文台の観測データは,太陽および太陽活動に関する知識に大変革をもたらした.
 1952年,メンゼル博士はハーバード大学天文台副台長となり,1954年に台長に就任した.1966年3月31日,台長の職を辞す.ハーバード大学で,実地天文学教授,天体物理学教授.1966年7月1日,スミソニアン天文台スタッフの研究科学者就任要請も受諾した.スペイン語圏ラテンアメリカで頻繁に講演を行っている.1968年,チリ大学客員教授となり,1964年にはラテンアメリカの専門家として国務省の仕事も行っている.
 1954〜56年,米国天文学会会長.現在アメリカ哲学学会副会長,全米科学アカデミー,米国芸術科学アカデミーなど多くの専門組織に所属している.電気電子技術者協会,英国王立天文学会外国準会員の上級会員.1948〜1955年,国際天文学連合日食専門委員会会長.国際無線科学連合(URSI),国際測地学地球物理学連合の会員.1959年からGCA社主任科学者.1957〜1966年,天文学研究大学連合役員会メンバー(1954年,デンバー大学から理学博士の名誉学位,1965年ジョン・エバンス賞を受ける).
 メンゼル博士は多作家である.彼の本,記事,科学論文は幅広い分野に渡り,多くの言語に翻訳されている.彼はSFにも挑戦している.彼の本,“Our Sun”はハーバード大学出版会から出版されている.この本は一般向けのスタイルで書かれてはいるが,いわゆるハーバードシリーズの標準参考書の一つである.
 フライングソーサーについては大衆向けの本を2冊書いている.2冊目はライル・ボイドとの共著で1963年刊行である.これらの本は,いろいろな報告を分析し,最終的に,この論争の的となっている“物体”は,いくつかの自然現象が原因であり,宇宙からやってきた飛行装置ではないと結論している.彼の最初のフライングソーサーの本は,ロシアで翻訳された.彼は南アメリカやメキシコなど,世界中でUFOの講演を行っている.
 メンゼル博士は優れた著作の書き方を科学者にアドバイスすることに関心があり,“専門論文の書き方”をハーバード大学英文学科ハワード・マンフォード・ジョーンズ,科学論説家ライル・ボイドとの共著で発行した.彼は“Field Guide to the Stars and Planets”の著書でもある.これは,天文家入門用の有名なハンドブックである.


「米下院UFOシンポジウム」収録のメンゼル博士の論文



  ◆ 公聴会用論文:UFO−事実か空想か?
    下院科学および宇宙航行学委員議長宛の電信文


「米下院UFOシンポジウム」収録論文執筆者


ハイネックマクドナルドカール・セーガンホールハーダー
ベイカーウォーカーメンゼルスプリンクル
ヘンダーソンフリードマンシェパードソールズベリー


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