1.一般的な考慮事項
もし,ランダムなある時点にカメラを持っていた人の割合に関する信頼できる統計があるなら(私はせいぜい1%のオーダーだと思っている),そしてUFO目撃者が目撃時間内に撮影しようと考える可能性を示す数字があるなら,利用できる目撃数に関する情報を組み合わせて,20年間で蓄積されたであろうUFO写真のおおよその数を見積もることはできるだろう.
それから,そのデータに対し,写真が科学者の組織につながりのある人物の目にとまり,その組織に知られるようになる可能性を考慮する必要がある.さらにこの数字は,非常に数の少ない,厳しい調査に合格した写真の数と比較されることになる.
私と交流のある真面目なUFO研究家たちの間での共通した見方は,UFO写真の信頼性は撮影者に依存している(ホール)というものである.
多くの偽造写真が作られてきた.UFO写真は売れるので,でっち上げを誘発し,撮影事例数の推定に誤差をもたらす事例を増加させることになる.実際に多くの写真がでっち上げであると立証されている.かなり多くの写真が状況から判断して非常に疑わしいので,真面目な研究者はあまり真剣に取り合わない.
火球の落下で,一般の人がUFO写真を撮影する可能性にも関係する,興味深いデータが得られた.1966年4月25日,約-10等級の火球が,アメリカ北東部を北に向かって弧を描いて通過した.この火球が目撃できた地域の全人口は約4,000万人に上る.ある記事43)によれば,200の目撃報告が寄せられたというが,写真はたった6枚しか提出されなかったと言う.
この火球は,30秒という,流星にしては比較的長い時間をかけ,非常に高い高度(25〜11km)を通過した.目撃可能な人口は4,000万人で(その記事が公表された時点で)提出されたのがたった6枚の写真だったという事実は,UFOの写真を入手するのは非常に難しいように思うかもしれない.
しかし,この事例を紹介した主な理由の一つは,明確な結論を得るのが困難なことを示すことにある.30秒ほどしか続かない現象であれば,観測者がフィルムの入ったカメラを持っていても,冷静に判断してすぐに撮影体勢に入るのはほとんど不可能である.
UFOの目撃は,30秒よりはるかに長く続くこともあり,撮影しようと考えるチャンスはもっとあるように思われる.しかし,私が行った目撃者へのインタビューの経験からすると,日中,UFOを至近距離で目撃した場合,明るい流星を目撃した場合よりもさらに気が動転してしまう.そのため,それに関連する重み係数は使えないのである.
良質のUFO写真が少ない点をどう考えればよいのか私には明確なことは言えないが,非常にやっかいな問題なのは確かである.
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