3.ケース11.ユタ州ソルトレイクシティ,1961年10月3日
レンズ状の物体が白昼目撃された.航空機から1名,地上から7名が目撃しており,ソルトレイクシティで大ニュースになった32).事件の概要は別の文献2,10,13,25)でも紹介されている.
自家用機パイロットのウォルドー・J.ハリスは1961年10月2日の正午頃,ユタ・セントラル空港の160番滑走路から離陸しようとしていたとき,遠方の細部不明の機影に気づいた.離陸直後にも,同方向にその物体を認めた.ある程度高度を上げたあと,もう一度その物体を見たが,そのとき何かおかしいと感じた.少しも動いているように見えなかったからである.その時点では,その物体は揺れているようで,真昼の陽光でキラキラ光り,航空機のようには見えなかった.
ハリスはもっとよく見ようと,南東方向に上昇,物体と同高度,6,000フィートより少し上の高度に達した.その頃には,両凸レンズ形状のメタリックグレイの物体であることがわかった.
明らかに通常の航空機ではなかったので,ハリスは無線で空港に連絡した.連絡を受けた空港では7名がその物体を双眼鏡で代わる代わる観察した.私はハリスだけでなく,物体を観察していた空港職員のジェイ・W.ガルブレイスとその夫人,同じく空港職員のロバート・G.バトラーにもインタビューした.
ハリスはもっと接近しようとしたが,あと2,3マイルのところで,その物体は突然1,000フィートほど垂直に上昇した.この動きは地上の目撃者も確認している.彼らの話によれば,この上昇は1秒もかからなかったということである.上昇する前の時点では,ハリスからはこの物体とその後方のネボ山は水平の位置関係にあった.これはこの事例の重要な特徴であるが,その理由については後ほど述べる.
ハリスがもっと接近する前に,その物体は彼の小型機の最高速度をはるかに超える速度で南東方向に飛行し,距離をあけた.すぐに推定10マイル程度まで離されたが,ハリスはさらに接近しようとした.
物体は短時間静止滞空しているように見えたが,すぐ上昇して,西に向かって超高速で飛行しはじめ,数秒で南西方向上空で視界から消えた.地上の目撃者全員ではないが何人かがこの最後の上昇,消失を観察していた.
空軍に連絡,複数のジェット機が飛来したが,到着したときはすでに物体は飛び去った後だった.
ハリスと,双眼鏡を使っていた地上の観察者は,主翼も尾翼もない両凸面の形状に見えたと証言した.ハリスはその表面が“つやを消したアルミ”のようだったと述べたが,最も接近した時でも約2,3マイル離れており,推定されたサイズは直径が50〜60フィート(そして厚みは1/10)なので,表面についての証言は信頼性が低いと思われる.
目撃者全員が,物体が静止滞空しているときに“揺れて”いたと証言している.ジェイ・ガルブレイスは,ハリスが搭乗するムーニー・マーク20Aが点の大きさに見えていたとき,円盤の方は肉眼でもよく見えていたと述べており,そのサイズはハリスが推定した50フィートよりかなり大きかった可能性があることを示唆している.
ガルブレイスは最後の消失時,おそらく垂直から約20度以内の急角度で上昇したと話している.バトラーも最後の消失について,ジェット機の速度をはるかに越える,驚くべき急激な上昇,消失だったと主張している.
その日は快晴だったと全員が話している.
考察
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