2.ケース10.ワシントン州ロングビュー,1949年7月3日 考察
この事例は公式には“気球”だったとされている.私は当該地域当日の上空の風に関する情報を入手した(700および500mbの高度の図).それによると,高度10,000から20,000フィートでは風は南西から吹いていた.報告によれば,物体の角サイズはすべて同じ程度であり,1時間以内に異なる三つの方向から飛来した.ひらひらした動きや太陽光の反射もそうであるが,これらは気球説に大きな疑問を投げかける.
特に重要な事実は,ロングビュー付近の風上には測風気球の観測所が存在しなかったことである.また,直径約1メートルの一般的な測風気球の見かけのサイズが10分になる高度は,2,500フィート以上にはならない.テイラーの報告(公式ファイル)によれば,未確認物体がロングビュー上空を2分から3分で通過している.その時間では測風気球は通常1,200から1,800フィートまで上昇する.したがって見かけのサイズの条件を満たすには,気球は近い場所から放出されていなければならない.しかし,当時気球観測所があったことは確認されていない.
さらに,テイラーの報告にあるパルプ工場の煙の流れから,地表では風は西から吹いており,地表に近いところでは南西から吹いていた.先に引用した上空の風向もそうであるが,これは気球説に矛盾している.物体の飛来した三つの方向,特に北と北西は風向きと異なるからである.
「スカイフック気球が3か所の(未知の)観測所から放出され,すべて異なる高度を流れ,しかも気球の見かけの直径がすべて同じ約10分の角度になる」という説はまったく非論理的である.よって気球説は認められない.
円盤型の物体は多くの事例で目撃されている.1947年6月24日のレイニア山でのアーノルドの目撃もそうである.
すべてではないが多くの事例で,目撃者は物体の奇妙な動作を“ひらひらした動き”と表現している8, 10).この動きが動力学的にどのような意味を持つのかは不明である.これに関しては1947年から21年経過した現在になっても何もわかっていない.これらの目撃例はナンセンスだと無視されるか気球の誤認だとされてきたからである.
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