5.目撃者が前もってUFOの知識があった場合に生じる問題
目撃者にインタビューする際,事前にUFOの情報をもっていたか,UFO関係の書籍の内容に詳しいか確かめることは重要である.UFO文献に非常に詳しいからといって,その目撃証言を無視するわけではないが,注意は必要となる.誰も調査していない地方の事例の目撃者を数多くインタビューした人であれば,目撃者ががUFOの問題に熱心すぎるので,おかしいと思ってその話を取り上げるのをやめたことが何度かあるだろう.
しかしながら,私は目撃以前にUFOに関心があったか目撃者に質問してきたが,大部分は新聞でたまたま読んだ以上のことを知らなかったし,この問題をもっと知ろうとは全然思わなかったと答えている.
目撃者にインタビューしてきた人なら,非常に信頼できると思われる目撃者が,自然な態度で「目撃するまでは,UFOの話なんてまったく信じていませんでした」などと発言するのをよく聞いたはずである.
確かに作り話をする人は,そういう態度を装って質問者を騙そうとするかもしれない.しかし,これまでインタビューした何百もの目撃者の中のせいぜい1,2例その疑いがあっただけである.一方,目撃者が目撃の前も後も,地球外仮説を熱心に主張していたために,興味を失ってしまった事例が数十ある.
予備知識がまったくと言っていいほどない目撃者に出会うこともある.ニューギニアの英国国教会宣教師N.E.G.クラットウェル9)は,彼の教区でUFO目撃者を多数インタビューした.彼はワラビー狩りのために高地の居住地帯から教区に降りてきた原住民の話を書いている.原住民は文字が読めなかったので,どんな言語で書かれたUFO報告も読めなかった.彼らが目撃したものを説明するのに,テーブルにあったボウルや皿を使った.彼らには,床屋の椅子で雑誌を読んで先入観が植え付けられるような機会はない.
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