ヨーロッパのUFO >第9章 高感度磁場検出器

(前略)

 すでに1955年に,単純なコンパスの針を用いた検出器が,異常な飛行物体を探知している.1955年12月27日22:15時,ロバーツタウンのミリカン氏が,自宅近くをジグザグに飛行する青白い物体を発見した(Miller 1957).
 1966年,スイスのペランジャケ氏が,電子増幅による磁場検出器(GEOSと呼ばれる)を開発した.この機器はかなり出回った.彼の装置や同様の装置が,何度かUFOの探知に成功している(Creighton 1966, Figuet/Ruchon 1979, Hendry 1978, Schneider 1981).ラガルドは,当時世界で,主にUFOの探知を目的として,約1,000台の磁場検出器が展開していたと推定している(Lagarde 1974).
 フランスのUFO団体“リュミエール・ダン・ラ・ニュイ” は,UFOの探知と観測を目的として,1963年に磁場検出器のネットワークを導入した.1955年には100台ほどだったが,1969年には430台がフランス中に展開していた.1968年と1969年に報告された332件のUFO目視事例のうちの約3%が,磁場検出器のおかげで発見できたものである.しかし,警報の88%は,検出器付近で物理的な物体を観測できなかった(Zan 1979) .UFOが探知され目撃された事例での物体までの距離は,いずれも目撃者から1km以内だった.
 物理学者のクロード・ポエルは,1954年10月1〜18日に記録された地球磁場の変化を統計的に分析した.分析したのはオレアンの北東30kmのシャンボン・ラ・フォレの地磁気観測所で測定されたデータである.その期間に報告されたUFOのほとんどは,この観測所から40km以上離れていたが,ポエルは,記録データの中からUFOの強い磁場によって生じたピークを見つけようとした.実際に磁場の垂直成分(Hz)に,UFO目撃と関連があるいくつかのピークが見つかった(Hzに対する相関係数=0.58).シグナルは非常に弱い(約10nT[ナノテスラ])ので,この分析は,全ての物理学者が納得するものではない(Hendry 1979).この装置のノイズレベルは約1nTで,擾乱インパルスは約10nTのオーダー内である.
 UFO周辺の磁場の発生源が双極子場だと仮定すると,距離の3乗の法則が適用できる.発生源から40km離れたところで10nTが検出された場合,発生源から20m離れたところでは,約80万ガウス(80テスラ)の磁場となる.

(後略)

図9.1 三軸磁気センサーを接続した磁力計と自動計測用ノートパソコン.


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    謝辞
    推薦の言葉  発見科学総合研究所
    発見科学総合研究所について
    序文  ジョン・F.シェスラー
         ブルー・マカビー
         リチャード・ヘインズ


 第1章 過去のUFO事例
   1. 1 フランス,ドイツ,英国の歴史的事例(16〜18世紀)
   1. 2 フーファイターとミラクル兵器
   1. 3 ヨーロッパ上空のゴーストロケット
   1. 4 ヨーロッパで発生した有名なUFO事例

 第2章 様々なUFOの形状
   2. 1 フランクフルト近郊のメッセルで目撃されたドーム付円盤
   2. 2 ローゼンハイム市近郊ホッホリース上空の卵形物体
   2. 3 イェムグム上空の葉巻形物体
   2. 4 インゴルシュタット上空の星形物体
   2. 5 プラウエン事例

 第3章 三角形のUFO

 第4章 同一形状のUFO

 第5章 UFO着陸・搭乗者目撃事例
   5. 1 コンタクトなしの搭乗者目撃
   5. 2 ランゲンアルゲン・コンスタンス湖事例
    5. 2. 1 コンスタンス湖上空の輝く物体
    5. 2. 2 バルデック・カフェ上空の物体
    5. 2. 3 異様な生物の出現
    5. 2. 4 他の目撃者
    5. 2. 5 事件後の影響
    5. 2. 6 物理的な調査
    5. 2. 7 心理学的調査
    5. 2. 8 退行催眠セッション
    5. 2. 9 精神科医の評価
    5. 2. 10 メンインブラックの出現

 第6章 UFOが残した金属片
   着陸現場の特定
   金属製の物体
   角の摩滅の跡

 第7章 UFOの証拠となる写真
   7. 1 グライフスバルトの光体
   7. 2 ギゼッペ・ルシフォーラが撮影したUFO
   7. 3 有名なナゴラの写真

 第8章 レーダーが捕捉したUFO
   8. 1 現在の防空システムにおける識別不能物体の扱い
   8. 2 レーダー画像分析の失敗
   8. 3 中欧の航空管制で使用される合成ディスプレイ
   8. 4 識別不能レーダー航跡の特徴
   8. 5 無秩序な飛行経路
   8. 6 知性的な挙動を示す航跡
   8. 7 軍のレーダー監視主任が三角形UFOを目撃

 第9章 高感度磁場検出器

 第10章 UFOが周囲に及ぼす影響
   10. 1 データカタログと統計分析
   10. 2 デンマークで同じ車が2度遭遇した電磁障害
   10. 3 フランス,トランス・アン・プロバンスにおけるUFO着陸後の物理的影響


原書表紙
 第11章 UFOの起源
   11. 1 概論
   11. 2 地球外仮説
   11. 3 心理学的現象,超常現象説
   11. 4 精神投影説
   11. 5 構造の歪み理論(TST)
   11. 6 地光仮説
   11. 7 平行宇宙説
   11. 8 異次元仮説
   11. 9 プロジェクター理論
   11. 10 タイムトラベル説
   まとめ

    附録A オルセンの信頼度指数
    附録B MUFON-CESの目標と活動
       1)画像分析班 2)レーダー分析班
       3)現地調査班 4)心理学研究班
       5)理論研究班 6)データ処理班

    訳者あとがき
    参考文献
    索引
    略歴


 



SSPCのUFO書籍・資料
「レーダー捕捉UFO事例の研究」 「未確認飛行物体に関する報告」 「コンドン報告第1巻」
「ブルーブックケースファイル」 「米下院UFOシンポジウム」 「コンドン報告第3巻」
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