ヨーロッパのUFO >第7章 UFOの証拠となる写真
>7. 1 グライフスバルトの光体

(前略)

 MUFON-CESの画像分析班は,6本のビデオと11枚の写真を入手し,数十名の目撃者から直接話を聞いた.彼らはみな,初めから目撃しておらず,誰も目撃し始めた正確な時刻を記憶していなかった.しかし,使用されたカメラの中にはタイムコードが記録されるものがあり,ムービー上に時刻が記録されていた.
 以上の情報から,2群の発光体が,バルト海上空(東経14°10’,北緯54°25’)で,20:30時から21:00時の約30分間,ほとんど動かずに滞空していたと推定される.明るくて近い方の群(グライフスバルトから見て高度約13°)は,6個の発光体で構成されていた.もう1つの群(高度約20°)は,“Y”字を形成していた(以後Y字編隊とする)(図7. 1. 2,p.10).
 教師と生徒40名のグループは,物体を約30kmの距離で目撃した.少年たちは,リューゲン島のムクランで休暇を過ごしていた.彼らは,Y字編隊の個々の物体は静止しておらず動いているのに気づいた.少年の1人は,小さな物体がいくつか2群の間を行き来しているのを確認した.
 現象が起きている時刻,太陽は水平線の8°下にあり,低高度の雲を照らしていた.月の位置は水平線の約90°下である.ロストクのドイツ気象局は,雲低高度2,500mに灰色または青い薄い雲と,白または灰色の,一部影のある丸くて厚い雲があり,空のほぼ5/8が雲に覆われていた,と報告している.弱い東北東の風があり,気温は約60°Fだった.
 医師のリュドミラ・イワノワとその夫でプロジェクト・エンジニアのニコライ・イワノフは,3階のバルコニーから,オリオン社のビデオカメラで物体を撮影した(LP 11.7 mm/s, Fuji Super HG EF-30, VHS-PAL).
 2階にいたビノグラドワ夫人は,通りで子どもたちが騒いでいるのに気づいた.子供たちは,何か変なものが見えると騒いでいるようだった.彼女が窓から外を見ると,50人ほどが空を見ていた.彼女は2群の発光体に気づき,夫のバレリー(翻訳業)を呼びに行った.彼は,3個の編隊に2個の物体が加わる瞬間を撮影した(カメラ:Zenith-E,レンズ:Industar 50 mm,フィルム:SweMA-G5Gost, 18°DIN).
 その後,この物体群は,7個の発光体で環を形成した(図7. 1. 3,p.11).環を形成した群は,はっきり見えていたが,数分後に消失した.高度が高くて離れた位置にある別の群は,初めははっきり見えなかった.環を形成した群が消えると,もう1つの群はY字形に集まり,はっきりしてきた.最初,この群は4個の物体だけだった.さらに2個が飛んできて,少ししてもう1個が,上方の複数の光体の間に現れた.リュドミラ・イワノワは約4分間撮影したが,その群はその後15分見えていた.物体群は,ある軸を中心に回転しているように思われた(図7. 1. 4,p.11).
 ライナー・ラトビッヒ氏は,20:40時頃,トラッセンハイデから両編隊を目撃した.彼は家族と海岸を歩いているときに,光体群を見つけた.彼はカメラ (Yashica,300倍レンズ)を取りに行き,何とか自動露出で短時間のうちに数枚撮影できた.これらの画像は輪郭がはっきりしない.しかし,ラトビッヒ氏は,自動露出を使わずにもう1枚撮影していた.この写真は,露出時間が短すぎて光量が不足していた.しかし逆にそれが(コンピュータ分析では)幸いした.暗く写っていたおかげで,コントラストのある構造部分が見えている(図7. 1. 5,p.12).
 ラトビッヒ氏がその夜に撮影したもう1枚の写真では,海面に光が反射していた(図7. 1. 6,p.12).だからこの光体は蜃気楼ではあり得ない.トラッセンハイデから光体を見ていた目撃者たちは,Y字編隊が満月と同じぐらいの明るさだったと報告している.光体はノイブランデンブルクから100kmの距離でもはっきり見えた.だから光体は熱気球ではない.
 ベルリン在住のルヒテルハント氏は,グライフスバルトの原子力発電所の約6km南を家族でドライブしているときに,光体を見つけた.彼は車を止め,義父のビデオカメラ (Canon,8倍ズーム)でその編隊を撮影した.Y字編隊までの距離は約25kmだった.20:45時頃に,環を形成していた光体群(ゆっくり時計回りに回転しているように見えた)は消えた.目撃者の興味深い発言もビデオに録音されていた.ビデオには,ルヒテルハント氏の「俺はUFOなんて信じていないし,そんなものはナンセンスだ.だが,今まで一度も,こんなものを見たことがない」という声が録音されている.

(後略)

図7. 1. 4a 物体群Bの7個の配置.ストッファー氏撮影.1個の小さな物体がB群の中に滞空している.


  目次(リンクをクリックするとその一部が読めます)


    謝辞
    推薦の言葉  発見科学総合研究所
    発見科学総合研究所について
    序文  ジョン・F.シェスラー
         ブルー・マカビー
         リチャード・ヘインズ


 第1章 過去のUFO事例
   1. 1 フランス,ドイツ,英国の歴史的事例(16〜18世紀)
   1. 2 フーファイターとミラクル兵器
   1. 3 ヨーロッパ上空のゴーストロケット
   1. 4 ヨーロッパで発生した有名なUFO事例

 第2章 様々なUFOの形状
   2. 1 フランクフルト近郊のメッセルで目撃されたドーム付円盤
   2. 2 ローゼンハイム市近郊ホッホリース上空の卵形物体
   2. 3 イェムグム上空の葉巻形物体
   2. 4 インゴルシュタット上空の星形物体
   2. 5 プラウエン事例

 第3章 三角形のUFO

 第4章 同一形状のUFO

 第5章 UFO着陸・搭乗者目撃事例
   5. 1 コンタクトなしの搭乗者目撃
   5. 2 ランゲンアルゲン・コンスタンス湖事例
    5. 2. 1 コンスタンス湖上空の輝く物体
    5. 2. 2 バルデック・カフェ上空の物体
    5. 2. 3 異様な生物の出現
    5. 2. 4 他の目撃者
    5. 2. 5 事件後の影響
    5. 2. 6 物理的な調査
    5. 2. 7 心理学的調査
    5. 2. 8 退行催眠セッション
    5. 2. 9 精神科医の評価
    5. 2. 10 メンインブラックの出現

 第6章 UFOが残した金属片
   着陸現場の特定
   金属製の物体
   角の摩滅の跡

 第7章 UFOの証拠となる写真
   7. 1 グライフスバルトの光体
   7. 2 ギゼッペ・ルシフォーラが撮影したUFO
   7. 3 有名なナゴラの写真

 第8章 レーダーが捕捉したUFO
   8. 1 現在の防空システムにおける識別不能物体の扱い
   8. 2 レーダー画像分析の失敗
   8. 3 中欧の航空管制で使用される合成ディスプレイ
   8. 4 識別不能レーダー航跡の特徴
   8. 5 無秩序な飛行経路
   8. 6 知性的な挙動を示す航跡
   8. 7 軍のレーダー監視主任が三角形UFOを目撃

 第9章 高感度磁場検出器

 第10章 UFOが周囲に及ぼす影響
   10. 1 データカタログと統計分析
   10. 2 デンマークで同じ車が2度遭遇した電磁障害
   10. 3 フランス,トランス・アン・プロバンスにおけるUFO着陸後の物理的影響


原書表紙
 第11章 UFOの起源
   11. 1 概論
   11. 2 地球外仮説
   11. 3 心理学的現象,超常現象説
   11. 4 精神投影説
   11. 5 構造の歪み理論(TST)
   11. 6 地光仮説
   11. 7 平行宇宙説
   11. 8 異次元仮説
   11. 9 プロジェクター理論
   11. 10 タイムトラベル説
   まとめ

    附録A オルセンの信頼度指数
    附録B MUFON-CESの目標と活動
       1)画像分析班 2)レーダー分析班
       3)現地調査班 4)心理学研究班
       5)理論研究班 6)データ処理班

    訳者あとがき
    参考文献
    索引
    略歴


 



SSPCのUFO書籍・資料
「レーダー捕捉UFO事例の研究」 「未確認飛行物体に関する報告」 「コンドン報告第1巻」
「ブルーブックケースファイル」 「米下院UFOシンポジウム」 「コンドン報告第3巻」
「全米UFO論争史」 「ヨーロッパのUFO」


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