ヨーロッパのUFO >第3章 三角形のUFO

(前略)

 大衆の圧力が原因で,UFOの歴史において初めて軍の科学者と一般の科学者の間で協力が行われた.そこでSOBEPSのメンバーは,ベルギー空軍の監視飛行に参加を要請された.ギュイ・コーメ国防大臣と参謀長W.ド・ブローエル将軍の協力により,特別な秘密取り扱い資格が与えられた.ド・ブローエル将軍は,憲兵隊と密接に協力して行動する特別任務部隊を組織した.
 1990年6月22日,彼はマスコミにUFOのレーダー捕捉状況を公開した.地上レーダー部隊だけでなく軍用機のレーダーもUFOを捕捉していた.ド・ブローエル将軍は次のように説明した.「我々の防衛システムはこの種の飛行物体には無力です」.
 メーセン教授はさらに分析を進めるために,ザベンテムのレーダーサイトから磁気テープに記録されたデータの一部を入手した.また彼はセメルザーケの軍事レーダーサイトからレーダー捕捉データを記録した30枚のフロッピーを入手し,グロンのNATOレーダーサイトの記録を閲覧する許可を得た.
 メーセン教授によれば,レーダー記録のほとんどは,気象現象や他の既知現象が原因であった.ごく一部のレーダーデータに,ステルス性を有する形状のUFOの低高度飛行を捉えたものがあった.真剣な研究者は皆,1990年にベルギーで数千人が目撃した三角形の物体は,超軽量機,エーワックス,ステルス戦闘機に起因するものではないことを理解していた.
 新しく選ばれた国防相レオ・デルクロアも1993年にフランスの研究者,ルノー・マリックに手紙で「その現象の性質と起源は不明のままです」と説明している.
 大衆からの大きな圧力があった後,ベルギーの内務,国防,情報大臣がUFOの状況に関する会議に出席した.野党は,この会議はナンセンスであり,時間と税金の無駄だ,という考えだった.だが,ベルギーの欧州議会代表であり,ワロン地域政府文化相のディ・ルポはこの事例を,ベルギーに対する領空侵犯事件として欧州議会に報告した.
 1991年1月25日,欧州議会議長は,エネルギー研究技術委員会に,この侵犯事件の調査を指示した.イタリア代表で,イタリア民主社会党の有名な物理学者トゥーリオ・レッジェ教授が調査を行うことになった.彼は3年かけて慎重に調査し,欧州議会に3件の申請書を提出した.彼は13ページの報告書で,欧州エネルギー研究技術委員会は,欧州軍と連携した欧州UFO観測センターを創設すべきである,と提案していた.欧州議会の代表たちは,センター創設の準備,資金調達には3年必要で,フランス国立宇宙研究センター(CNES)のあるツールーズに設置すべきであると論じた.

(後略)

図3. 1 1990年2月2日01:15時頃,ハンブルク近郊で天文学者が目撃した三角形物体.


  目次(リンクをクリックするとその一部が読めます)


    謝辞
    推薦の言葉  発見科学総合研究所
    発見科学総合研究所について
    序文  ジョン・F.シェスラー
         ブルー・マカビー
         リチャード・ヘインズ


 第1章 過去のUFO事例
   1. 1 フランス,ドイツ,英国の歴史的事例(16〜18世紀)
   1. 2 フーファイターとミラクル兵器
   1. 3 ヨーロッパ上空のゴーストロケット
   1. 4 ヨーロッパで発生した有名なUFO事例

 第2章 様々なUFOの形状
   2. 1 フランクフルト近郊のメッセルで目撃されたドーム付円盤
   2. 2 ローゼンハイム市近郊ホッホリース上空の卵形物体
   2. 3 イェムグム上空の葉巻形物体
   2. 4 インゴルシュタット上空の星形物体
   2. 5 プラウエン事例

 第3章 三角形のUFO

 第4章 同一形状のUFO

 第5章 UFO着陸・搭乗者目撃事例
   5. 1 コンタクトなしの搭乗者目撃
   5. 2 ランゲンアルゲン・コンスタンス湖事例
    5. 2. 1 コンスタンス湖上空の輝く物体
    5. 2. 2 バルデック・カフェ上空の物体
    5. 2. 3 異様な生物の出現
    5. 2. 4 他の目撃者
    5. 2. 5 事件後の影響
    5. 2. 6 物理的な調査
    5. 2. 7 心理学的調査
    5. 2. 8 退行催眠セッション
    5. 2. 9 精神科医の評価
    5. 2. 10 メンインブラックの出現

 第6章 UFOが残した金属片
   着陸現場の特定
   金属製の物体
   角の摩滅の跡

 第7章 UFOの証拠となる写真
   7. 1 グライフスバルトの光体
   7. 2 ギゼッペ・ルシフォーラが撮影したUFO
   7. 3 有名なナゴラの写真

 第8章 レーダーが捕捉したUFO
   8. 1 現在の防空システムにおける識別不能物体の扱い
   8. 2 レーダー画像分析の失敗
   8. 3 中欧の航空管制で使用される合成ディスプレイ
   8. 4 識別不能レーダー航跡の特徴
   8. 5 無秩序な飛行経路
   8. 6 知性的な挙動を示す航跡
   8. 7 軍のレーダー監視主任が三角形UFOを目撃

 第9章 高感度磁場検出器

 第10章 UFOが周囲に及ぼす影響
   10. 1 データカタログと統計分析
   10. 2 デンマークで同じ車が2度遭遇した電磁障害
   10. 3 フランス,トランス・アン・プロバンスにおけるUFO着陸後の物理的影響


原書表紙
 第11章 UFOの起源
   11. 1 概論
   11. 2 地球外仮説
   11. 3 心理学的現象,超常現象説
   11. 4 精神投影説
   11. 5 構造の歪み理論(TST)
   11. 6 地光仮説
   11. 7 平行宇宙説
   11. 8 異次元仮説
   11. 9 プロジェクター理論
   11. 10 タイムトラベル説
   まとめ

    附録A オルセンの信頼度指数
    附録B MUFON-CESの目標と活動
       1)画像分析班 2)レーダー分析班
       3)現地調査班 4)心理学研究班
       5)理論研究班 6)データ処理班

    訳者あとがき
    参考文献
    索引
    略歴


 



SSPCのUFO書籍・資料
「レーダー捕捉UFO事例の研究」 「未確認飛行物体に関する報告」 「コンドン報告第1巻」
「ブルーブックケースファイル」 「米下院UFOシンポジウム」 「コンドン報告第3巻」
「全米UFO論争史」 「ヨーロッパのUFO」


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