ヨーロッパのUFO >第8章 レーダーが捕捉したUFO
>8. 6 知性的な挙動を示す航跡

(前略)

 1993年6月18日に,まっすぐ210km/hの速度で飛行する正体不明の飛行物体を識別しようとしているときに,物体は突然直角ターンを行い,超音速に加速した.レーダーコンピュータはマッハ4以上のトラックを除外する.今日のジェット機やミサイルでその速度を超えるものがないからである.ゆえに,その正体不明の物体の航跡は,おそらく記録されていない(図8. 23).
 物体の中には電力施設に明らかに関心を示しているものがある.これらの物体は原子力発電所,大型の変電施設や送電施設の上空によく出現する(図8. 24).
 識別不能物体はレーダーサイト付近に滞空し,空中戦のような機動を行う.レーダープロットは,レーダーサイトの近くを飛行する識別不能目標が約10kmの距離を維持していることを示している.1995年1月24日,少なくとも3個の物体が3,700mのバルムホルンに設置されたレーダーステーション周辺を飛行し,異常なパターンで飛び回った(図8. 25,p.17,図8. 26,p.17).
 単一の物体の機動を,3次元のコンピュータ・アニメーションで見ることができる.このコンピュータアニメーションを見れば,その機動が通常の航空機とかけ離れていることを理解できる.これらの物体は,高度3,700mから10,000mまでバルムホルン山頂を回るように飛行した(図8. 27,図8. 28,p.18).我々はこの軌道から飛行特性を計算した.12Gまでの横加速度が数秒間続いていたことがわかった(図8. 29,図8. 30).ゆえに,これらの物体が有人機である可能性はない.新型の無人機を飛ばしたのであれば,軍のATC(航空管制)に事前に通告されるはずである.空戦の機動まで行うのであれば,なおさらである.
 レーダーサイトは2,100mのピラトゥス山山頂にも設置されている.このレーダーサイトでも,1994年5月18日と12月21日に,半径約10kmの範囲で異常な飛行物体がその周りを飛び回った(図8. 31).  1996年5月29〜30日の夜間,4つあるNATO空域早期警戒システムの1つ,メスシュテッテン(ビュルテンベルク)のNATO基地上空を飛行物体が低速で移動した(図8. 32,p.18,図8. 33).
 未知の擾乱がメスシュテッテン上空だけでなく,東の空域でも起きたので,このエコーはNATO基地が何か行ったために起きたものではなかった.それに,メスシュテッテン上空で異常なレーダーシグナルが記録されたのは,これが初めてではない.マンヒンク(バイエルン)やメスシュテッテンの空軍基地のパイロットは,我々に「ここ10〜15年は未確認飛行物体を追跡したりはしていません,ジェット機ではこの物体に追いつけず,いつも逃げられてしまうからです」と話した.
 識別不能レーダー擾乱が目視できた事例がいくつかあり,少なくともそれらの事例については,固体の物体であることが確認された.残念ながら,目視で確認できる可能性は,良質のレーダー観測となる可能性に反比例する.良質の目視観測となるには,飛行物体は,少なくとも300mより低い高度をとる必要があるが,その高度では,物体は,レーダー水平線の下に位置してしまう.未確認飛行物体の良質のレーダー・目視報告はごくわずかしかないのはそのためである.

(後略)

図8. 22b 1995年2月21日20:19:30〜20:22:40時,チェコの国境からドイツ領内に飛来した正体不明の物体.高々度から超音速で飛行,途中で2つに分裂(高度チャート).


  目次(リンクをクリックするとその一部が読めます)


    謝辞
    推薦の言葉  発見科学総合研究所
    発見科学総合研究所について
    序文  ジョン・F.シェスラー
         ブルー・マカビー
         リチャード・ヘインズ


 第1章 過去のUFO事例
   1. 1 フランス,ドイツ,英国の歴史的事例(16〜18世紀)
   1. 2 フーファイターとミラクル兵器
   1. 3 ヨーロッパ上空のゴーストロケット
   1. 4 ヨーロッパで発生した有名なUFO事例

 第2章 様々なUFOの形状
   2. 1 フランクフルト近郊のメッセルで目撃されたドーム付円盤
   2. 2 ローゼンハイム市近郊ホッホリース上空の卵形物体
   2. 3 イェムグム上空の葉巻形物体
   2. 4 インゴルシュタット上空の星形物体
   2. 5 プラウエン事例

 第3章 三角形のUFO

 第4章 同一形状のUFO

 第5章 UFO着陸・搭乗者目撃事例
   5. 1 コンタクトなしの搭乗者目撃
   5. 2 ランゲンアルゲン・コンスタンス湖事例
    5. 2. 1 コンスタンス湖上空の輝く物体
    5. 2. 2 バルデック・カフェ上空の物体
    5. 2. 3 異様な生物の出現
    5. 2. 4 他の目撃者
    5. 2. 5 事件後の影響
    5. 2. 6 物理的な調査
    5. 2. 7 心理学的調査
    5. 2. 8 退行催眠セッション
    5. 2. 9 精神科医の評価
    5. 2. 10 メンインブラックの出現

 第6章 UFOが残した金属片
   着陸現場の特定
   金属製の物体
   角の摩滅の跡

 第7章 UFOの証拠となる写真
   7. 1 グライフスバルトの光体
   7. 2 ギゼッペ・ルシフォーラが撮影したUFO
   7. 3 有名なナゴラの写真

 第8章 レーダーが捕捉したUFO
   8. 1 現在の防空システムにおける識別不能物体の扱い
   8. 2 レーダー画像分析の失敗
   8. 3 中欧の航空管制で使用される合成ディスプレイ
   8. 4 識別不能レーダー航跡の特徴
   8. 5 無秩序な飛行経路
   8. 6 知性的な挙動を示す航跡
   8. 7 軍のレーダー監視主任が三角形UFOを目撃

 第9章 高感度磁場検出器

 第10章 UFOが周囲に及ぼす影響
   10. 1 データカタログと統計分析
   10. 2 デンマークで同じ車が2度遭遇した電磁障害
   10. 3 フランス,トランス・アン・プロバンスにおけるUFO着陸後の物理的影響


原書表紙
 第11章 UFOの起源
   11. 1 概論
   11. 2 地球外仮説
   11. 3 心理学的現象,超常現象説
   11. 4 精神投影説
   11. 5 構造の歪み理論(TST)
   11. 6 地光仮説
   11. 7 平行宇宙説
   11. 8 異次元仮説
   11. 9 プロジェクター理論
   11. 10 タイムトラベル説
   まとめ

    附録A オルセンの信頼度指数
    附録B MUFON-CESの目標と活動
       1)画像分析班 2)レーダー分析班
       3)現地調査班 4)心理学研究班
       5)理論研究班 6)データ処理班

    訳者あとがき
    参考文献
    索引
    略歴


 



SSPCのUFO書籍・資料
「レーダー捕捉UFO事例の研究」 「未確認飛行物体に関する報告」 「コンドン報告第1巻」
「ブルーブックケースファイル」 「米下院UFOシンポジウム」 「コンドン報告第3巻」
「全米UFO論争史」 「ヨーロッパのUFO」


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