ヨーロッパのUFO >第2章 様々なUFOの形状
>2. 5 プラウエン事例

(前略)

 39才の郵便局員Hさん(既婚女性)は,自宅マンションの1階でテレビを見ていた.マンションは市の中心部の,高いビルが集中する一角にあった.その夜,娘は地元のディスコで遊んでいた.23時頃に,見ていた映画が終わり,Hさんはバルコニーに出た.そこから道路とディスコがよく見える.もう遅いので,彼女は娘のことを気にかけた.
 彼女がバルコニーに出たとき,正面右手5mほどのところに明るい光があるのに気づいた.その光が樹齢9年の小さいオークの木をオーラのように取り巻いていた.他の木はそうことはなく,その木だけが風で前後に大きく揺れていた.Hさんは,強い風を感じたが,光っている木だけが風のせいで地面に触れるほど大きく揺れていたのでおかしいと思った.
 Hさんはいったい風がどこから吹いているのかと見回すと,約100m先に大きな発光物体が見えた.物体はビルのすぐ上,高度約30mの位置に滞空していた.それは2枚のフリスビーの1枚を逆にして重ね合わせたもののようだった.下部には,小さくて暗い四角形が複数あり,窓のように見えた.その下には,複数の白いライトが取りまき,時計回りに回転していた.物体の上部にも同様のライトが取りまいていたが,こちらは反時計回りに回転していた(図2. 5. 1,p.4).
 約1分後,風はおさまり,木の周りの光は消え,木はまっすぐな状態に戻った.物体は直径約10mぐらいあるように見えた.物体は突然左に移動し,別のビルの後ろに消えた.少しして,物体はほぼ同じところに戻ってきて,そのビルの前に移動したが,右側のビルの後ろに消えた.
 Hさんは,走って通りに出て,物体を追跡した.彼女は物体が,数百メートル先のマンションの上で消えるのを見た.Hさんは,バルコニーにいた5組の人たちと,通りにいた人たちも物体を見ているのに気づいた.彼女は,その人たちとは話をしなかった.「私は本当はその類の話は信じていないんです」というのがその理由である.Hさんは,この事件が全体で約6分だったと推定した.
 23:15時頃,11階に住むマルチナ・Sさん(既婚女性)は,4才の娘と一緒に寝ていたところを電話で起こされた.電話をかけたのは同じマンションの3階に住む彼女の友達のAさん(既婚女性)だった.彼女は非常に興奮しながら,「マルチナ,このマンションの上にUFOがいるみたい」と言った.Aさんは3階のバルコニーから異常な物体を目撃し,最上階の友達からも同じ物体が見えるか聞こうとしたのである.Sさんは,「何をバカなことを言ってるの」と言って,電話を切ろうとしたとき,友達が「戻ってきた!あなたも見て!」と叫ぶのが聞こえた.それで,Sさんは子機を持ったまま,リビングルームの窓の方に行ってみた.非常に大きな物体が,別の窓の前で滞空しているのが見えた.物体までの距離は,彼女から5mほどしかなかった.彼女には銀色に輝く金属的な物体に見えた.Sさんも,物体には,反対向きに回転する2つの光のリングと,複数の暗い窓があるのに気づいた(図2. 5. 2, p.4).彼女は「物体はマンションの屋上に着陸しようとしているように思えました」と話している.
 Sさんは電話機を落とし,娘を抱いて3階の友達のところに急いで降りていった.しばらくして,彼女らはおそるおそるバルコニーの方に行き,思い切ってバルコニーに出て,下から物体を見ようとした.彼女らは強い風が物体から出ているのを感じ,物体の上の雲に1つ穴が開いているのに気づいた.その穴は物体が原因でできたものだと彼女らは思った.
 物体は,数分間同じ場所で,ヨーヨーのように上下に移動し,その後,もっと高い高度に移動,そこで物体は傾いて北東方向に飛び去った.
 事件の最中に,Sさんは近くに住む義姉妹に電話し,彼女が見たものを話した.義姉妹は複数のライトを見つけ,その現象をビデオに収めた.怯えた女性たちは,警察に電話し,担当者に目撃したことを報告した.警察が到着するまでに物体は消えていたが,警察は,女性たちに,他に同じような目撃の電話が多数あったことを話した.

(後略)

図2. 5. 1 1994年5月21日23:00時,プラウエンで目撃されたUFO.このとき,異常な力で小さなオークの木が大きく揺れていた.

図2. 5. 2 マンション11階のリビングルームの窓の近くに滞空するUFO.わずか5mの距離でUFOと遭遇した目撃者の証言に基づいて描かれたイラスト.


  目次(リンクをクリックするとその一部が読めます)


    謝辞
    推薦の言葉  発見科学総合研究所
    発見科学総合研究所について
    序文  ジョン・F.シェスラー
         ブルー・マカビー
         リチャード・ヘインズ


 第1章 過去のUFO事例
   1. 1 フランス,ドイツ,英国の歴史的事例(16〜18世紀)
   1. 2 フーファイターとミラクル兵器
   1. 3 ヨーロッパ上空のゴーストロケット
   1. 4 ヨーロッパで発生した有名なUFO事例

 第2章 様々なUFOの形状
   2. 1 フランクフルト近郊のメッセルで目撃されたドーム付円盤
   2. 2 ローゼンハイム市近郊ホッホリース上空の卵形物体
   2. 3 イェムグム上空の葉巻形物体
   2. 4 インゴルシュタット上空の星形物体
   2. 5 プラウエン事例

 第3章 三角形のUFO

 第4章 同一形状のUFO

 第5章 UFO着陸・搭乗者目撃事例
   5. 1 コンタクトなしの搭乗者目撃
   5. 2 ランゲンアルゲン・コンスタンス湖事例
    5. 2. 1 コンスタンス湖上空の輝く物体
    5. 2. 2 バルデック・カフェ上空の物体
    5. 2. 3 異様な生物の出現
    5. 2. 4 他の目撃者
    5. 2. 5 事件後の影響
    5. 2. 6 物理的な調査
    5. 2. 7 心理学的調査
    5. 2. 8 退行催眠セッション
    5. 2. 9 精神科医の評価
    5. 2. 10 メンインブラックの出現

 第6章 UFOが残した金属片
   着陸現場の特定
   金属製の物体
   角の摩滅の跡

 第7章 UFOの証拠となる写真
   7. 1 グライフスバルトの光体
   7. 2 ギゼッペ・ルシフォーラが撮影したUFO
   7. 3 有名なナゴラの写真

 第8章 レーダーが捕捉したUFO
   8. 1 現在の防空システムにおける識別不能物体の扱い
   8. 2 レーダー画像分析の失敗
   8. 3 中欧の航空管制で使用される合成ディスプレイ
   8. 4 識別不能レーダー航跡の特徴
   8. 5 無秩序な飛行経路
   8. 6 知性的な挙動を示す航跡
   8. 7 軍のレーダー監視主任が三角形UFOを目撃

 第9章 高感度磁場検出器

 第10章 UFOが周囲に及ぼす影響
   10. 1 データカタログと統計分析
   10. 2 デンマークで同じ車が2度遭遇した電磁障害
   10. 3 フランス,トランス・アン・プロバンスにおけるUFO着陸後の物理的影響


原書表紙
 第11章 UFOの起源
   11. 1 概論
   11. 2 地球外仮説
   11. 3 心理学的現象,超常現象説
   11. 4 精神投影説
   11. 5 構造の歪み理論(TST)
   11. 6 地光仮説
   11. 7 平行宇宙説
   11. 8 異次元仮説
   11. 9 プロジェクター理論
   11. 10 タイムトラベル説
   まとめ

    附録A オルセンの信頼度指数
    附録B MUFON-CESの目標と活動
       1)画像分析班 2)レーダー分析班
       3)現地調査班 4)心理学研究班
       5)理論研究班 6)データ処理班

    訳者あとがき
    参考文献
    索引
    略歴


 



SSPCのUFO書籍・資料
「レーダー捕捉UFO事例の研究」 「未確認飛行物体に関する報告」 「コンドン報告第1巻」
「ブルーブックケースファイル」 「米下院UFOシンポジウム」 「コンドン報告第3巻」
「全米UFO論争史」 「ヨーロッパのUFO」


メルマガ「UFO研究WEBマガジン」
テーマはUFOの学術的研究.毎号,海外の優れた研究をご紹介.


販売書籍資料室書評リンク

UFO書籍のSSPC TOPへ