ヨーロッパのUFO >第6章 UFOが残した金属片
>着陸現場の特定

(前略)

 エクベリは先を急ごうと言った.しかしシェーベリは,物体が着陸した場所を見に行こうと主張した.シェーベリは懐中電灯を持ってトラックから降りた.彼は,道の両脇の背の高い草が押し倒されているのに気づいた.それでエクベリもトラックから降り,2人はもっと証拠となるものがないか,あたりを探し始めた.草が円形に押しつぶされているところがあり,エクベリは,その中心のほこりっぽい道の上に岩石のようなものを見つけた.彼はかすかに光るその物体を持ち上げた.物体はとても熱く,彼は火傷しないよう左右の手で交互に持ち替えなければならなかった.光る岩石はマッチ箱ぐらいの大きさの金属で,側面が3つあった.この物体は異常に重かった.エクベリはそれを持って行くことにし,トラックのダッシュボードのグローブボックスに入れ,建築現場に向かった.
 エクベリとシェーベリは友人や家族にこの話をしたが,からかわれたのでそれ以上話さないことにした.
 翌年の夏,エクベリはストックホルムで船の仕事をしていた.そのときある紳士と知り合った.彼は冶金学者だった.エクベリはあの金属を車に入れたままにしていたことを思い出し,その男性に見せた.エクベリはその物体が何なのかちゃんと調べてもらいたかった.男性はプラチナではないかと考えた.彼はエクベリに,それが非常に高価な可能性があるので,研究室で分析してもらった方がよい,と勧めた.
 ストックホルムで何件か分析を依頼して断られた後,結局金属はヘルシングボリの会社に持ち込まれた.この会社は,物体を特殊な試験にかけ,プラチナではないと結論した.物体は,機械的,化学的,熱的な試験で影響を受けなかった.しかし,物体に超音波をあてたときに3個に割れてしまった.3個の断片はエクベリに返された.
 数年後,彼が本屋にいるときに,UFOの本のことを尋ねている客の話が聞こえてきた.彼は,その会話を聞いて,自分がバド島で遭遇したものがUFOと呼ばれるものだということがわかった.もう1人の客が,ストックホルムのUFO団体のメンバーであることがわかった.エクベリは,物体をもう一度調べてもらうことにした.
 エクベリは,UFO団体と最初に接触したときに,スベン・シャリンを紹介された.UFO団体のメンバーであるシャリンは,航空機製造会社サーブの研究所の責任者だった.金属はシャリンに預けられ,様々な試験にかけられることとなった.UFO団体の仲介で,スウェーデンの各種の研究所や,デンマークの研究所でも試験が行われた.
 最初の試験は,シャリンのいるサーブ社の研究所で行われた.金属がエクベリに返されて数日後,またシャリンがやってきた.米空軍の位の高い将校も一緒だった.将校は,空軍でも分析したいので,金属片を1つ貸してほしいと言った.将校は,試験の結果はエクベリに報告し,そのとき金属片も返却すると約束した.エクベリは金属片の1つを米軍将校に貸した.しかしそれはエクベリの元に二度と戻ってくることはなかった.

(後略)

図6. 1 スウェーデンでUFOが残したとされる金属製の物体.超音波にかけたとき3個に崩壊,その後そのうちの1個が米空軍に提供されたが約束に反して返却されなかった.


  目次(リンクをクリックするとその一部が読めます)


    謝辞
    推薦の言葉  発見科学総合研究所
    発見科学総合研究所について
    序文  ジョン・F.シェスラー
         ブルー・マカビー
         リチャード・ヘインズ


 第1章 過去のUFO事例
   1. 1 フランス,ドイツ,英国の歴史的事例(16〜18世紀)
   1. 2 フーファイターとミラクル兵器
   1. 3 ヨーロッパ上空のゴーストロケット
   1. 4 ヨーロッパで発生した有名なUFO事例

 第2章 様々なUFOの形状
   2. 1 フランクフルト近郊のメッセルで目撃されたドーム付円盤
   2. 2 ローゼンハイム市近郊ホッホリース上空の卵形物体
   2. 3 イェムグム上空の葉巻形物体
   2. 4 インゴルシュタット上空の星形物体
   2. 5 プラウエン事例

 第3章 三角形のUFO

 第4章 同一形状のUFO

 第5章 UFO着陸・搭乗者目撃事例
   5. 1 コンタクトなしの搭乗者目撃
   5. 2 ランゲンアルゲン・コンスタンス湖事例
    5. 2. 1 コンスタンス湖上空の輝く物体
    5. 2. 2 バルデック・カフェ上空の物体
    5. 2. 3 異様な生物の出現
    5. 2. 4 他の目撃者
    5. 2. 5 事件後の影響
    5. 2. 6 物理的な調査
    5. 2. 7 心理学的調査
    5. 2. 8 退行催眠セッション
    5. 2. 9 精神科医の評価
    5. 2. 10 メンインブラックの出現

 第6章 UFOが残した金属片
   着陸現場の特定
   金属製の物体
   角の摩滅の跡

 第7章 UFOの証拠となる写真
   7. 1 グライフスバルトの光体
   7. 2 ギゼッペ・ルシフォーラが撮影したUFO
   7. 3 有名なナゴラの写真

 第8章 レーダーが捕捉したUFO
   8. 1 現在の防空システムにおける識別不能物体の扱い
   8. 2 レーダー画像分析の失敗
   8. 3 中欧の航空管制で使用される合成ディスプレイ
   8. 4 識別不能レーダー航跡の特徴
   8. 5 無秩序な飛行経路
   8. 6 知性的な挙動を示す航跡
   8. 7 軍のレーダー監視主任が三角形UFOを目撃

 第9章 高感度磁場検出器

 第10章 UFOが周囲に及ぼす影響
   10. 1 データカタログと統計分析
   10. 2 デンマークで同じ車が2度遭遇した電磁障害
   10. 3 フランス,トランス・アン・プロバンスにおけるUFO着陸後の物理的影響


原書表紙
 第11章 UFOの起源
   11. 1 概論
   11. 2 地球外仮説
   11. 3 心理学的現象,超常現象説
   11. 4 精神投影説
   11. 5 構造の歪み理論(TST)
   11. 6 地光仮説
   11. 7 平行宇宙説
   11. 8 異次元仮説
   11. 9 プロジェクター理論
   11. 10 タイムトラベル説
   まとめ

    附録A オルセンの信頼度指数
    附録B MUFON-CESの目標と活動
       1)画像分析班 2)レーダー分析班
       3)現地調査班 4)心理学研究班
       5)理論研究班 6)データ処理班

    訳者あとがき
    参考文献
    索引
    略歴


 



SSPCのUFO書籍・資料
「レーダー捕捉UFO事例の研究」 「未確認飛行物体に関する報告」 「コンドン報告第1巻」
「ブルーブックケースファイル」 「米下院UFOシンポジウム」 「コンドン報告第3巻」
「全米UFO論争史」 「ヨーロッパのUFO」


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