全米UFO論争史 >第6章 1954〜1958年 ── NICAPの台頭

 1954〜1958年の時期,コンタクティと民間のUFO団体が論争に加わり,空軍のUFOプログラムを巡って空軍と小競り合いを繰り広げていた.民間のUFO団体は,全米空中現象調査委員会(NICAP)がUFO論争の指導的立場にあると認識していた.空軍は調査および広報の体制を再編したが,そのことでUFOに対する空軍の秘密主義,広報,議会の調査に対する立場が明確になった.
 批判は,空軍が情報を独占的に収集しているという点に集中した.空軍だけが目撃報告を継続的に集め,調査分析する唯一の公的機関であった.空軍は,最も包括的なデータを持っていたが,それは機密ファイルとして保管されていた.キーホーが指揮するUFO研究団体は,空軍はパニックを避けるために沈黙している,と批判した.彼らは空軍にファイルを公開するよう要求した.しかし空軍は,ロバートソン査問会の報告および査問会が用意したファイルに機密情報が含まれていることを理由に公開を拒んだ.民間UFO研究団体は,空軍の発表,規則,方針に反発し続け,空軍を論争の標的にしたが,そのために団体の自律性をある程度犠牲にしていた.さらに空軍は,UFO現象の潜在的重要性を否定し,民間団体の意図に疑いの目を向けたことで,UFO団体の反発を強めた.
 空軍の機密政策が原因で,UFO支持者はやや誇大妄想的になっていた.

(後略)



全米空中現象調査委員会(NICAP)メンバーと特別アドバイザー(◇)


ドナルド・E.キーホー退役海兵隊少佐


元海軍誘導ミサイル計画責任者デルマー・S.ファーニー退役少将


初代会長,物理学者T.タウンゼント・ブラウン博士


元戦艦ミズーリ艦長,R.H.ヒレンケッター海軍中将(CIA 初代長官)


デューイ・フォーネット空軍少佐


航空機オーナーパイロット協会会長J.B.ハートランフト


ロバート・B.エマーソン陸軍予備役大佐


元海兵隊第1師団長,P.A.デルバジェ退役中将


アイオワ州立大学宗教学教授マーカス・バッチ博士


アルバート・ベイラー牧師


コメンテーター,フランク・エドワーズ


リチャード・ホール


◇アル・チョップ


◇R.B.マクラフリン海軍中佐


◇デルバート・C.ニューハウス海兵隊准尉


◇カナダ政府UFO ロジェクト元責任者ウィルバート・B.スミス

NICAPは著名人を多数理事に揃えることで社会への影響力を強め,長年に渡り米空軍に圧力をかけ続けた.


  目次(リンクをクリックするとその一部が読めます)



原書表紙
   序文
   謝辞
   用語について

   第1章 謎の飛行船 ─― 論争の序曲
   第2章 現代のUFO目撃始まる
   第3章 1952年のUFO目撃ウェーブ
   第4章 ロバートソン査問会
   第5章 コンタクティとUFOマニア
   第6章 1954〜1958年 ―─ NICAPの台頭
   第7章 議会公聴会開催を巡る争い
   第8章 1965年 ─― 論争の転機
   第9章 コンドン委員会とその余波
   第10章 1973年 ── 過去からのこだま

   空軍が受けた年間UFO報告数の変化
   日本語版あとがき
     ・閲覧可能となった米政府文書
     ・目撃報告の減少
     ・ロズウェル事件
     ・ネオコンタクティ
     ・UFO研究界
     ・陰謀論
     ・アブダクション
     ・次の段階
   註
   情報源について
   主要参考文献
   著者経歴
   索引


   本書で取り上げた書籍一覧


 



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