マクドナルド博士のUFO研究

第9回 1966年5月21日 ペンシルバニア州ウィロー・グローブ UFO事件


 次に、白昼、ドーム型円盤が近距離を飛行するのを2名が目撃した事例を取り 上げる。目撃者の一人は、ペンシルバニア州ラドナー出身のウィリアム・O.パ ウエルで、飛行時間18,000時間のパイロットである。パウエルと乗客のミュリ エル・マックレイヴ嬢は、1966年5月21日、フィラデルフィア方面をパウエルの ルスコム機で飛行していた。そのときに物体を発見したのだが、物体はウィロー・ グローブ海軍航空基地から海外へ向かう海軍機のあとをつけているようだった。 その後物体は(バンクせずに)急旋回し、異常接近するコースでパウエルの飛行 機に向かってきた。至近距離(パウエルはおよそ100ヤードと推定)を物体が通 過したとき、二人はその物体をはっきり目撃した。インタビューでは、その輪郭は 円形で、翼や推進機関らしきものもなかったと断言していた。上部のドーム型の 部分は「陶磁器のような白」だったと説明し、一方、下部の円盤状の部分は鮮や かな赤だった(「日中の光で見る赤」だったとパウエルは述べている)。その物体は 、 パウエル機の右側を通過したが、機の高度の少し下を通過した。その物体が存 在したのは間違いない、というのは地平線が物体で覆い隠されたからだ、とパウ エルは述べている。
 その物体は間違いなくそこに存在していたのであり、現実のものである、と、パ ウエルは簡潔に証言している。


「それはまるでキャデラックのような、はっきりした形のある物を見ているようでし た」

 パウエルはその物体の対気速度をおそらく時速200マイルと推定している。物 体はふらつくこともなく、安定した姿勢で飛行していた。パウエルはその直径を 20フィート程度と推定している。マックレイヴは全長40フィート近かったかもし れないと述べている。二人はそれぞれ、その物体の厚さと直径の比をおよそ1対 2だったと述べている。その物体が彼らの機の右側の翼のあたりを通過した後、 パウエルは振り返って後部の小さな窓からなんとかその物体を見ることができ た。
 マックレイヴの方はその物体を視界いっぱいに目撃していた。しかし突然、物 体は消えてしまった、と彼女は述べている。それ以後は、彼らはもうその物体を 目撃できなかった。

考察
 パウエルは陸軍および空軍で数年間兵役を務めた後、東部の大企業の幹部専 用機を操縦している。私はこの事例に関して、パウエルの上司の一人と話し合 った。彼は無条件でパウエルは信頼できると語った。
 1967年4月22日に開催されたthe American Society of Newspaper Editors(アメ リカ新聞編集者協会)年会でのUFOパネルディスカッションにおいて、パウエル は、目撃の概要を説明した。彼の報告はこの年会の議事録に収められている。 私にはこの事例を満足に説明できる自然現象があるとは思えない。視程は約15 マイルで遮るものもなく、彼らは快晴の中を4,500フィートの高度で飛行していた。 すぐそばを、かの物体が通過したのはそのときである。総飛行時間18,000時間の ベテランパイロットと言えども、空中での距離や速度を正確に判断することは不 可能だが、事故を起こさずにやってこられたのは、普段から距離や速度の判断で ミスをしなかったからであろう。
 この事例の信頼性を認めて何かコメントするとすれば、サムフォード将軍が言う ところの「信頼できる人物が信じがたい物体を目撃した」事例の一つであると 言うべきであろう。
 私もこの年会に参加していたが、パウエルの概要報告は適切なものだったと感 じた。D.H.メンゼルとフィリップ・J.クラス(ともにUFOの気象現象説のある)も パウエルの報告を聞くため出席していたが、私にはこの事例を気象光学や球 電、プラズマで説明できるとはとても思えない。
 繰り返しになるが、ここで取り上 げているのは、地球外で作られた人工飛翔体、宇宙船目撃に関する重要な事 例であるといえるだろう。彼の報告にあるような瞬間的な物体の消滅(J.B.ホ イッテッドや他の多くの目撃者によっても同様の現象が報告されている)は、今 日の科学知識では説明することはできない。パウエルはこの目撃について ウィ ロー・グローブ海軍航空基地で報告を行ったが、関心をもたれることはなかった。

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