UFOは原子力発電所,核研究施設,軍事基地の核兵器貯蔵施設の上空でよく目撃されている1).ロスアラモス,オークリッジ,ハンフォードAEC(原子力委員会),サバンナリバーAECのような,機密度の高い政府の研究および製造施設での目撃報告も多い.その報告の多くは,経験豊富な政府機関の科学者やトップシークレット情報閲覧資格のある軍人からのものである.
1975年11月初旬に起きた十分に証拠のある一連の事件では,夜間怪光や未確認の“謎のヘリコプター”が,わが国北部の広範囲の地域にある軍事基地,ミサイルサイトに出現した.10月27日〜11月10日に,核兵器貯蔵施設のある,メイン州北部のローリングAFB(空軍基地),ミシガン州ワートスミスAFB,ノースダコタ州グランドフォークスAFBおよびマイノットAFB,モンタナ州マルムストロムAFB上空で何度もUFO目撃が報告された.ムーア,ルイスタウン近くのミサイルサイトやモンタナ州グレートフォールズ近くのマルムストロム基地近辺にあるいくつかのミサイルサイトにUFOが飛来したという報告が多数寄せられたので,マルムストロムAFBからF-106迎撃機がスクランブル発進した2).
同様の侵入多発は1948年12月(ロスアラモス),1950年12月(オークリッジ),1952年7月(ハンフォードAEC,サバンナリバーAEC,ロスアラモス)1965年8月(ワイオミング州シャイアン近くのウォーレンAFB),1967年3月(マイノットAFB,マルムストロムAFB,ロスアラモス),1968年8月(サウスダコタ州エルスワースAFB),1980年8月(ウォーレンAFB,ニューメキシコ州サンディア研究所,カートランドAFB),1980年12月(イギリス,サフォーク州ベントウォーターズ英AFB),1991年10月(ウクライナのチェルノブイリ,ロシアのアルハンゲリスクミサイル基地)に起きている.
これらの報告から,UFOの背後に存在する知性体が核兵器や原発に関心を示していると推測できなくもない.直接の関連を示唆するこれらの報告の特徴のひとつは,核物質に焦点をあてたエネルギービーム,光線に関するものである3).UFOから光線が核貯蔵庫,地下ミサイルサイロに照射された(おそらく内部を貫通している)という個別の証言が多数存在する4,5).さらに,明確な根拠はないが,いくつかのサイトの兵器のテレメトリーが変えられたとか別の兵器が作動不能になったという下士官兵たちのうわさもある6,7).
UFO搭乗者が原発の安全性,核拡散に多大な関心を持っており,それでこれらのサイトを厳重に監視し続けているのではないか,という研究者もいる.1986年4月にチェルノブイリ原発事故が起きたが,最初の爆発の約3時間後,もっとも火災がひどいときに,損傷した第4原子炉の1,000フィート以内に,真鋳のような色をした火球を目撃したと技術者たちが報告している.UFOは2本の明るい赤い光線を発射,第4原子炉に照射した.UFOは3分ほどその地域に滞空したが,光線の照射をやめて,ゆっくり北西の方に移動した.UFO出現の直前の放射線レベルは3,000ミリレントゲン/hrだったが,光線が照射された後は800ミリレントゲン/hrになった.明らかにUFOは放射線レベルを減少させたのである8).
核施設に強い関心を示している統計的根拠はあるだろうか? このことを明らかにするために,我々は第2次大戦以降蓄積されたUFOの証拠に疫学の技術を応用した.下の表1は,UFOCAT2002データベースで集計したものである.核施設のある164の郡と核施設のない164の郡を対比している.核施設には,核物質の貯蔵,製造施設を含む.核施設には,バーモント州ウィンダム郡のバーモント・ヤンキーのような小さな商業用原発や,コロラド州ジェファーソン郡のロッキー・フラッツのような核製造施設,ワシントン州キットサップ郡のバンガー海軍基地のような原子力潜水艦の基地も含まれる.
対照群となる郡は,核施設のある郡と同じ地域(北東部,中西部,南部,山岳部,西海岸) のほぼ同じ人口規模のものから選ぶようにした.そして,過去に核兵器が存在した軍事基地のある郡は対照群から除くようにした.結果は,核施設の存在とUFO目撃,近距離遭遇(CE)の間に重大な関連があることを示唆している.この関連は,郡の人口規模が小さいほど強くなる傾向があるので,結果を5つの人口階層に分類した.
a)500,000人以上
b)225,000人以上500.000人未満
c)101,000人以上225,000人未満
d)50,000人以上101,000人未満
e)50,000人未満
50,000人以上101,000人未満の郡では,核施設のある郡は,UFO報告が人口10万人当たり37.03件に達し,核施設のない同様の郡の2.61倍である.全体では,UFO目撃報告の比率は核施設のある郡では13.84件で,ない郡では9.59件,相対危険度は1.44である.つまり,核施設のある郡はない郡の1.44倍報告があるということである.近距離遭遇報告については,核施設のある郡では人口10万人当たり2.58件,ない郡では人口10万人当たり1.79件で,相対危険度は1.44である.92の核施設のある郡は,UFOの近距離遭遇が4件かそれ以上あるUFOの“ホットスポット”と考えられる.それに対して核施設のない郡ではホットスポットは70だけである.
核施設はUFOを引きつけるかどうかという問いの答えは,“イエス”と言えると思われる.核施設のある郡では,核施設のない場合に予測される目撃報告よりも,3,051件も多い目撃報告がある.同様に,近距離遭遇の場合は,核施設のある郡では,それがない場合に予測されるものよりも568件多い近距離遭遇事例がある.
米国の郡のデータを使った以前の研究では,教育がUFO報告と関係があることがわかっている.高卒の資格をもつ居住者の比率が高い郡ほど,UFO報告の数が増加することがわかった9).それで核施設のある郡とこの調査のために選択した核施設のない郡の間で教育レベルに大きな差があるかどうかを調べる必要がある.
1960年の米国人口調査資料によれば,高卒の資格を有する成人(25歳以上)の人口比は,核施設のある164の郡では43.7%だった.一方,核施設のない164の郡では38.9%である.一般に,核施設は教育レベルの高い労働力を必要とする傾向がある.この事実は,二つの群の間に見られた小さな教育レベルの差を説明できる.この小さな差が,UFO報告および近距離遭遇の超過分をすべて説明できるか,というとそれは疑わしいように思われる.
このように少し厄介な問題が残ってはいるが,人口と郡の地域を統制すると,明らかにUFO報告は核施設近郊で高い頻度で発生している.UFOが知性体によって制御されていると仮定すればだが,UFOの背後に存在する知性体の動機がよくわからないならば,我々はそれを考察すべきである.細心の注意を要する機密度の高い核施設にUFOが長期間に渡って侵入してきたことを考えると,そして,2001年9月11日の事件によりテロリストに対する原発の脆弱性に注目が集まっていることを考えると,国家の安全に関わる組織は,核施設上空の制限空域に進入するUFOの問題に注意を向ける義務があると思われる.UFO搭乗者の動機が危険なものではなかったとしても,私が自国の安全の責任者であれば,この問題に注意を払う.
表1.UFO報告は核施設に近いほど多く発生しているのか?
米国の,核施設のある郡と,同数の,同じ地域,同人口規模で核施設がない郡の比較.
| N | |
総人口 | UFO報告 | CE報告 |
UFO報告/ 10万人 | CE報告/ 10万人 |
問題群 | 164 | 核施設のある郡 |
61,368,144 | 8,495 | 1,584 |
13.84 | 2.58 |
対照群 | 164 | 核施設のない郡 |
56,771,476 | 5,444 | 1,016 |
9.59 | 1.79 |
| オッズ比 | 1.44 | 1.44 |
| N | a)人口50万人以上 |
総人口 | UFO報告 | CE報告 |
UFO報告/ 10万人 | CE報告/ 10万人 |
問題群 | 33 | 核施設のある郡 |
43,341,055 | 4,939 | 832 |
11.40 | 1.92 |
対照群 | 33 | 核施設のない郡 |
38,383,010 | 3,245 | 560 |
8.45 | 1.46 |
| オッズ比 | 1.35 | 1.32 |
| N | b)22.5〜50万人 |
総人口 | UFO報告 | CE報告 |
UFO報告/ 10万人 | CE報告/ 10万人 |
問題群 | 31 | 核施設のある郡 |
10,918,990 | 1,700 | 343 |
15.57 | 3.14 |
対照群 | 31 | 核施設のない郡 |
11,144,549 | 1,280 | 241 |
11.49 | 2.16 |
| オッズ比 | 1.36 | 1.45 |
| N | c)10.1〜22.5万人 |
総人口 | UFO報告 | CE報告 |
UFO報告/ 10万人 | CE報告/ 10万人 |
問題群 | 25 | 核施設のある郡 |
3,519,679 | 638 | 136 |
18.13 | 3.86 |
対照群 | 25 | 核施設のない郡 |
3,649,492 | 421 | 95 |
11.54 | 2.60 |
| オッズ比 | 1.57 | 1.48 |
| N | d)5〜10.1万人 |
総人口 | UFO報告 | CE報告 |
UFO報告/ 10万人 | CE報告/ 10万人 |
問題群 | 34 | 核施設のある郡 |
2,494,943 | 924 | 209 |
37.03 | 8.38 |
対照群 | 34 | 核施設のない郡 |
2,499,389 | 355 | 82 |
14.20 | 3.28 |
| オッズ比 | 2.61 | 2.55 |
| N | e)人口5万人未満 |
総人口 | UFO報告 | CE報告 |
UFO報告/ 10万人 | CE報告/ 10万人 |
問題群 | 42 | 核施設のある郡 |
1,093,477 | 294 | 64 |
26.89 | 5.85 |
対照群 | 42 | 核施設のない郡 |
1,095,036 | 143 | 38 |
13.06 | 3.47 |
| オッズ比 | 2.06 | 1.69 |
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註
(1) UFOCAT2002データベースは,“ミサイル”または“核”施設とコード化されたサイトでの報告が289件リストされている.これらの報告は,1944年3月のハンフォードの第二次世界大戦時の巨大プルトニウム製造施設からあまり離れていないワシントン州ヤキマ付近での空中での遭遇事件から,同じく2001年10月にイギリス,ケント州の原子力発電所上空で起きた空中遭遇事例まで期間に渡っている.これらの事例の少なくとも52例は,近距離遭遇事例である.
(2) Fund for UFO Research (1985). Government documents concerning over-flights of military bases in 1975, pp. 98-100.
(3) Gestin, Pierre (1973). Phenomena Spatiaux, July 1973, p. 26 (Loqueffret, France, February 1961).
(4) Gross, Loren (1982). UFOs: A History 1950: April - July. Fremont, CA: Author, p. 34 (Dugway Proving Grounds, UT, April 25, 1950).
(5) Hall, Richard H. (2001). The UFO Evidence Volume II: A thirty-year report. Lanham, MD: Scarecrow Press (Bentwaters AFB, December 27, 1980)
(6) Keyhoe, Donald E (1973). Aliens from Space: The real story of Unidentified Flying Objects. Garden City, NY: Doubleday, pp. 10-11 (Minot AFB, March 5, 1967).
(7) Hall, Richard H (2001). The UFO Evidence Volume II: A thirty-year report. Lanham, MD: Scarecrow Press, p. 333 (Malmstrom AFB, March 16, 1967).
(8) Stonewell, Paul (1998). The Soviet UFO Files. New York: Quadrillion Publishing, pp. 68-69.
(9) Saunders, David R. (1972). Some new lines for UFO research. MUFON 1972 Conference Proceedings. June 17, 1972, pp 139-145.
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