お詫び
以前このページに掲載していた「核実験とUFO」という論文で、ネバダ州でUFOが目撃された日と核実験日の相関についてご報告しましたが、重大な間違いが見つかりましたので削除しました。間違いというのは使用したデータベース「UFOCAT2000」に、UFO事例以外のデータも含まれていたのに、それも含めて統計分析したことです。その中には核実験のデータも含まれていたため、当然ながら極めて強い相関が現れました。読者の方々にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
今回は最新の「UFOCAT2005」を使用し、UFO事例以外のデータを取り除いた上で、分析の地理的範囲を米本土に拡張して再度分析を行いましたので、それをご報告させていただきます。



米国ネバダ州で行われた核実験と
米国内で報告されたUFO事例の関係

桑原恭男


Relationship between Reported UFO Events in the United States and Nuclear Tests in Nevada.
2006.07.01


 

 

 ニューハンプシャー州ボウ,サンリバー研究所のドナルド・A.ジョンソン博士の論文,“Do Nuclear Facilities Attract UFOs?”(核施設はUFOを引きつけるのか?)では,核施設のある郡と,人口数が同規模で核施設がない郡で,UFO報告数および近距離遭遇(CE)数に差があるかどうかを調査している1)
 それによると,UFO目撃およびCEとも,核施設がある郡の方が1.44倍多いことがわかった.郡の人口の規模が小さいほど,その比率は拡大し,人口5万人未満の郡では,目撃数で2.06倍,CEで1.69倍となる.そして,ジョンソン博士は,UFOの背後に核兵器や核動力に関心を示す知性体が存在している可能性を示唆している.

 それでは,核実験とUFOの出現には関係があるのだろうか.

 UFOデータベースのUFOCAT20052)にはネバダでの核実験時に現場で起きたUFO事例として次の3例が記録されている3)

・1951年10月30日.原爆実験の3時間後,高々度をプロペラ型の物体が高速で飛行,上空を数秒で通過.
・1952年4月15日.原爆実験が行われた直後,原子雲の中を4〜6個の円盤型飛行物体が通過.
・1952年4月22日.核実験の20分前,銀色の楕円形物体2個が実験場上空600mを飛行.さらに複数の物体が出現.

 この論文では,これらの事例のような核実験場での目撃に限らず,核実験が行われた日に米国全土(ハワイを除く)で“報告されたUFO事例”(以後単にUFO事例と表記)の増加が見られるかどうかを統計的に調査した.ジョンソン博士の論文は地理的な相関の調査であったが,この論文は時間的な相関の調査である.調査期間は1951〜1990年,調査したのは次の2点である.

・年間のUFO事例発生数と年間の核実験日数の相関(核実験の多い年ほどUFO事例が多いのではないか,という予想の検証).
・ネバダ州での核実験日における米国内でのUFO事例数と,核実験が行われなかった日のUFO事例数の比較(核実験日にUFO事例が集中しているのではないか,という予想の検証).


表1.ネバダ州での年間の
核実験日数と全米および
10州でのUFO事例数

実験
日数
UFO事例数
全米 10州
19511234685
195281752381
195311616141
19540932275
195516936253
195611136337
1957301556400
195826775239
19590546154
19600715228
19619704223
196256505208
196333497222
196440725261
1965341413529
1966441968832
19673728901156
1968471212520
196931884300
197029355107
197119370142
197222630234
1973182245715
1974211046286
1975201427348
197617758171
197717491135
197816751195
19791527955
19801320438
19811639373
19821517456
19831612872
19841715978
1985157923
19861424073
19871423245
19881433489
198911380102
1990824143

782310249824

使用したデータ
 UFO事例のデータはUFOCAT2005を使用した.ネバダ州での核実験の日付については,ウェブサイト“Federation of American Scientsts”内の“United States Nuclear Tests July 1945 through September 1992, DOE/NV-209 (Rev. 14), December 1994 ”4)のデータを使用した..核実験のデータはグリニッジ標準時となっているが,UFOCATのデータの日付はそれ以外に現地標準時等も含まれているため,それらをグリニッジ標準時に変換した.幅のある時間帯表記(Daytime,Afternoon,Midnight等)の場合はその時間帯の中央の時刻を用いた.


結果と考察
 ネバダ州での1951年〜1990年の各年の核実験日数と,全米および特定の10州(後述)のUFO事例数を表1に,それらの散布図を図1に示す.これらの図からは年間の核実験の日数とUFO事例数の間には相関があるように思われる.

 表2に,1951年〜1990年の期間の,米国各州の全UFO事例数と,ネバダ州で核実験が行われた日に限った米国各州のUFO事例数を示す.その40年間を日数に換算すると14,610日であり,そのうちネバダ州で核実験が行われているのは782日である.UFO事例がランダムに発生した場合,核実験日にUFO事例が発生する確率は782/14,610(=5.35%)となり,それを全UFO事例数に乗算すれば核実験日に発生するUFO事例数の理論期待値が求まる.表2の“a/b”というのは,実際のUFO事例数と期待値の比である.一番下の各州の合計(全米)の場合,この数値が1.20になっているが,これは,実際の核実験日のUFO事例数が理論的に予想される値の1.20倍の頻度で発生している,ということである.

 この頻度が偶然によるものなのか(A.核実験日とUFO事例には相関がない),核実験日にUFO事例が集中する傾向があるのか(B.核実験日とUFO事例には相関がある)を調べるために,仮説検定を行った.ここでの帰無仮説は上記Aであり,対立仮説がBである.観測結果がどのくらいの確率(p値)で起きることなのかを計算し,設定した有意水準と呼ばれる基準(ここでは1%とする)より小さければ,観測結果は有意と見なされ,帰無仮説Aが棄却,対立仮説Bが受け入れられることになる.

 この確率の計算は表計算ソフト・エクセルで二項分布の統計関数を用いて行った.その結果が表2のp値である.全米の場合,p値は0.00%なので,帰無仮説Aは棄却され,対立仮説Bすなわち「核実験日とUFO目撃には相関がある」が受け入れられた.図1bで使用したのは有意水準の1%よりp値の小さい10州である.

 次にカイ二乗検定という方法で,上記の帰無仮説,対立仮説を検定した(有意水準1%).この場合,前回とは異なり,UFO事例数ではなくUFO事例が発生した日数を使う(同じ日に複数の事例が発生することもあるので,UFO事例発生日数はUFO事例数より小さい値となる).14,610日をUFO事例の有無,核実験の有無でクロス集計したものを表3(全米)に示す.2×2のクロス集計の場合,自由度1のカイ二乗分布を使う.自由度1のカイ二乗分布において,有意水準1%点は6.63であり,これより大きな値が棄却域となる.表3のクロス集計表から計算した検定統計量は13.09なので,この検定でも帰無仮説Aは棄却され,対立仮説Bすなわち「核実験日とUFO目撃には相関がある」が受け入れられた.

 同様の計算を各州ごとに行ったものを表4に示す.p値が1%以下の7つの州はすべて表2の1%以下の州と共通している.

 核実験日とUFO目撃の相関の特に高い表2の10州の,全米地図上での位置を図2に示す.特定の地域への偏りが見られる.

 次に考えられる相関の原因を検証する.UFO事例の発生が人間の活動に関連している場合,特定の曜日に集中する可能性がある.核実験は特定の曜日に集中しているであろう.どちらも曜日に対して同じような偏りが見られた場合,直接の因果関係はなくとも相関が見られる可能性がある.

 それで,核実験日とUFO事例発生日を曜日ごとに集計した(表5).核実験日の72%が水〜金曜日に集中していたので,曜日を水〜金と土〜火に分けた.1曜日あたりの実験日数を比較すると前者が後者の3.43倍,UFO事例数の方は1.11倍と水〜金に集中する傾向があるようである(表6).ところが,核実験日におけるUFO事例数から計算したp値を比較すると,どちらも0.00%で両者に差はなかった.よって全体のp値の低下は,目撃および核実験日が特定の曜日に偏ったためではない.


結論
 この調査でわかったことは次の3点である.

 核実験が多い年ほど,UFO事例が多い傾向がある.
 核実験が行われた日に,UFO事例が集中する傾向がある.
 特にその傾向の強い州の地理的な分布に偏りがある.

図1.ネバダ州での1951年〜1990年の各年の核実験日数とUFO事例数の関係.aは全米(相関係数0.32),bは10州(相関係数0.46)を対象にしている.直線は最小二乗法により描いた回帰直線.二つの項目の相関が強いほど直線付近にデータが集中し,相関係数が1に近づく.


表2.米国各州の全UFO目撃事例数とネバダ州で核実験が行われた日に限った米国各州のUFO事例数の関係(1951年〜1990年).核実験場のあるネバダ州で核実験日に期待値の2.4倍のUFO事例が発生している.右上の表は核実験日にUFO事例が発生する理論確率.右下の表は州の略号の説明.

全UFO
事例数
実験日
事例数
(a)
期待値
(b)
a/b p値
NV1992610.72.440.00%
MA8767546.91.600.01%
NY169012790.51.400.01%
UT2302712.32.190.01%
CO6956037.21.610.02%
OH2609179139.61.280.06%
AR2992916.01.810.16%
PA183112598.01.280.39%
IL11348260.71.350.42%
WV2612414.01.720.74%
NM6224733.31.411.22%
CT5123927.41.421.85%
NE2602213.91.582.38%
MD4783625.61.412.64%
NC6424634.41.342.94%
VT7784.11.945.36%
FL12207865.31.196.33%
IA3532618.91.386.42%
MS2592013.91.446.56%
LA2632014.11.427.41%
NJ7795141.71.228.36%
MI9386050.21.209.13%
ME2651914.21.3412.17%
IN8705446.61.1614.84%
MO10136254.21.1415.48%
NH3092116.51.2715.79%
ND183139.81.3318.39%
TN3992521.41.1723.69%
OR5053127.01.1524.14%
WY145107.81.2925.00%
WI8515045.51.1026.89%
KY3342017.91.1233.55%
AK2031210.91.1040.42%
AL3011716.11.0644.53%
KS4122322.11.0444.82%
SC2681514.31.0546.70%
US16198.61.0449.53%
WA8344544.61.0149.94%
MN5282828.30.9954.73%
VA6503434.80.9857.93%
DE7644.10.9858.53%
AZ4432323.70.9758.94%
ID13677.30.9659.61%
MT2731414.60.9660.33%
OK4032021.60.9366.70%
SD15178.10.8770.34%
DC16778.90.7879.51%
RI8834.70.6485.61%
CA3020144161.60.8993.08%
GA5012026.80.7593.21%
TX13085270.00.7499.09%
全米3102419961660.61.200.00%
全日数14610
核実験日数782
実験日UFO
事例発生率
5.35%

AKAlaska
ALAlabama
ARArkansas
AZArizona
CACalifornia
COColorado
CTConnecticut
DCDistrict of Columbia
DEDelaware
FLFlorida
GAGeorgia
IAIowa
IDIdaho
ILIllinois
INIndiana
KSKansas
KYKentucky
LALouisiana
MAMassachusetts
MDMaryland
MEMaine
MIMichigan
MNMinnesota
MOMissouri
MSMississippi
MTMontana
NCNorth Carolina
NDNorth Dakota
NENebraska
NHNew Hampshire
NJNew Jersey
NMNew Mexico
NVNevada
NYNew York
OHOhio
OKOklahoma
OROregon
PAPennsylvania
RIRhode Island
SCSouth Carolina
SDSouth Dakota
TNTennessee
TXTexas
USUnited States
UTUtah
VAVirginia
VTVermont
WAWashington
WIWisconsin
WVWest Virginia
WYWyoming





図2.米国各州の全UFO目撃事例数とネバダ州で核実験が行われた日の米国各州のUFO事例数の相関が大きかった10州(グレーの領域)




表3.全米を対象とした核実験とUFO事例のクロス集計.

 実験日非実験日
UFO事例有56491039667
UFO事例無21847254943
7821382814610
検定統計量 13.091


表4.各州を対象とした核実験とUFO事例のクロス集計.

  実験日
UFO
事例有
非実験日
UFO
事例有
全日数
UFO
事例有
実験日
UFO
事例無
非実験日
UFO
事例無
全日数
UFO
事例無
検定
統計量
p値
UT24160184758136681442621.7580.00%
NV21153174761136751443615.6810.01%
OH12216031725660122251288511.4220.07%
IL69830899713129981371110.2010.14%
NY8911271216693127011339410.1260.15%
AR2320923275913619143789.6820.19%
WV2019421476213634143966.8360.89%
MA5165470573113174139055.1762.29%
NE1919721676313631143945.1332.35%
PA831156123969912672133714.8452.77%
CT3238141375013447141974.8152.82%
CO4049953974213329140714.7272.97%
LA1920222176313626143894.6643.08%
NJ4356160473913267140063.8824.88%
MI5168473573113144138753.8444.99%
VT7637077513765145402.9998.33%
NH1922424376313604143672.9678.50%
IA2328230575913546143052.9458.61%
KS2228430676013544143042.08214.90%
MN1640241876613426141921.97515.99%
FL6088794772212941136631.93316.45%
IN4363267573913196139351.44722.90%
TN1926128076313567143301.15728.20%
TX4489994373812929136670.93833.28%
ME1521022576713618143850.77937.74%
WA4266170374013167139070.56445.27%
NC2245647876013372141320.54945.89%
OR2639742375613431141870.54246.15%
NM2641043675613418141740.33156.51%
MD2336138475913467142260.31657.40%
SC1319620976913632144010.31557.46%
VA3149752875113331140820.29158.96%
RI3727577913756145350.27260.19%
AZ2235037276013478142380.23862.60%
MS1218519777013643144130.21564.27%
WI3862366174413205139490.21564.31%
CA1081986209467411842125160.18366.86%
OK1828830676413540143040.17367.73%
GA1631132776613517142830.13970.89%
MO4270174374013127138670.13970.90%
KY1626728376613561143270.05282.02%
DC713414177513694144690.04283.70%
ND815216077413676144500.04084.21%
ID711512277513713144880.03684.94%
AL1222423677013604143740.03485.38%
SD711812577513710144850.01590.17%
DE4687277813760145380.00693.88%
US813814677413690144640.00594.54%
WY712112877513707144820.00395.32%
AK1017418477213654144260.00296.02%
MT1119720877113631144020.00296.70%
全米564910396672184725494313.0910.03%


表5.各曜日の核実験日数,UFO事例数.

  全日数実験
日数
比率
(%)
UFO
事例数
比率
(%)
実験日
の事例
2087192.4406113.140
2088364.6440214.2126
20879612.3447314.4247
208716421.0475015.3381
208722929.3470815.2504
208717021.7461114.9530
2087688.7401913.0168
14610782100.031024100.01996


表6.表2の全米の部分の土〜火,水〜金の比較.

  日数実験
日数
平均
(%)
事例数平均
(%)
実験日の
事例(a)
期待値

(b)

a/bp値
土〜火83492197.01695513.7581444.71.310.00%
水〜金626156324.01406915.114151265.11.120.00%


1.http://www.cufon.org/contributors/DJ/Do%20Nuclear%20Facilities%20Attract%20UFOs.htm
 ジョンソン博士は以下の核施設でのUFO目撃を取り上げている.1948年12月(ロスアラモス),1950年12月(オークリッジ),1952年7月(ハンフォードAEC[原子力委員会施設],サバンナリバーAEC,ロスアラモス),1965年8月(ワイオミング州シャイアン近くのウォーレン空軍基地),1967年3月(マイノット空軍基地,マルムストロム空軍基地,ロスアラモス),1968年8月(サウスダコタ州エルスワース空軍基地), 1975年10月27日〜11月10日(メイン州北部のローリング空軍基地,ミシガン州ワートスミス空軍基地,ノースダコタ州グランドフォークス空軍基地,マイノット空軍基地,モンタナ州マルムストロム空軍基地),1980年8月(ウォーレン空軍基地,サンディア研究所,ニューメキシコ州カートランド空軍基地),1980年12月(イギリス,サフォーク州ベントウォーターズ英空軍基地),1991年10月(ウクライナ,チェルノブイリ,ロシア,アルハンゲリスクミサイル基地).さらに1986年のチェルノブイリ核惨事のときにもUFOが出現,火災が発生した第4原子炉に光線を照射,それにより放射線のレベルが3,000ミリレントゲン/時から800ミリレントゲン/時に低下したという.それに関する引用文献は Stonewell, Paul (1998). The Soviet UFO Files. New York: Quadrillion Publishing, pp. 68-69.

2.約18万のレコードからなる世界最大のUFOデータベース.以下のサイトから購入可能. http://www.cufos.org/pubform.pdf

3.これらはすべてネバダ実験場ユッカ平原(エリア51に隣接)での,航空機から投下したMk-4原子爆弾(長崎に投下されたMk-3原爆改良の初の生産型原爆)の空中爆発実験である.

4.http://www.fas.org/nuke/guide/usa/nuclear/usnuctests.htmの“Chronological Section”にあるPDFファイル,“United States Nuclear Tests - By Date”.



SSPCのUFO書籍・資料
「レーダー捕捉UFO事例の研究」 「未確認飛行物体に関する報告」 「コンドン報告第1巻」
「ブルーブックケースファイル」 「米下院UFOシンポジウム」 「コンドン報告第3巻」
「全米UFO論争史」 「ヨーロッパのUFO」


メールマガジン「未確認飛行物体の科学的研究」
テーマはUFOの学術的研究.毎号,海外の優れた研究をご紹介.


販売書籍資料室書評リンク

UFO書籍のSSPC TOPへ