メリーランド州ウォルドーフ/アンドリュースAFB地域での
UFO目撃報告 2002年7月26日

Report on Sighting of July 26, 2002, Waldorf/Andrews AFB area, MD

FUND FOR UFO RESERCH のDon Berliner 会長の承諾を得て、
 http://www.fufor.com/report_020726.htm の翻訳文を掲載


基本情報

・GPSによるウォルドーフの位置 北緯38°37'24" 西経076°55'46" 以下に出てくる方位は現場で事件を聴取したときにコンパスで読み取ったものである。
・目撃時刻は東部夏時間午前1-2時
・目撃者 レニー・ロジャース(メリーランド州ウォルドーフ)
 レニーは30代前半の政府職員で、ウォルドーフの都市住宅に、妻と2匹のコリーと住んでいる。場所はアンドリュースAFBの南約11マイル。彼の仕事は遅い時間帯に交替勤務があり、自分のことをフクロウみたいなものだと話している。以下に述べる事件が始まったとき、彼はリビングルームにいた。  彼は昔からアンドリュースAFB(空軍基地)の近くに住んでいて、離着陸する航空機のことを非常によく知っている。彼の家はアンドリュース基地の飛行経路の下に位置しているが、この日目撃したようなものはそれまで見たことはなかったと述べている。
 彼が行った時間や位置の推定は非常に正確である。視力は高い。UFOには関心をもっていたが、目撃したのは今回が初めてである。彼は事件の後、ワシントンD.C.にあるWTOPラジオ局とFUFOR(UFO研究基金)に報告した。彼は自分が見たことと軍の情報の不一致に対して実際はどうなのか知りたがっていた。
・天候 3,500フィートにちぎれ雲が少しあった。5,500-6,000フィートは一面雲に覆われていた。
・レーガンナショナル空港(ウォルドーフの北西15マイル)の気温70°F、相対湿度76%、東南東の風、風速5-6mph。(湿度の値は少し高いようなので、補正データが公表されたあとで調べる必要がある)。視程は10マイル。

事件の経緯

1.目撃者はアンドリュースAFBを離陸する航空機の音を聞いた。
2.ジェット機はアフターバーナーを点火し、彼の家が振動した。
3.目撃者は戦闘機が青い光体を追跡しているのを目撃した。

1.航空機はアンドリュースAFBから離陸した
 ロジャースはアンドリュースAFBを離陸する航空機の音を聞いた(1時半から2時の間だと述べているが、正確ではない)。彼の家の近くを航空機が飛んだのは5-7-10分間だった。離陸後、ごく短い時間航空機の音がしなくなったが、航空機の音はだんだん大きくなってきて、航空機は彼の家の付近をずっと旋回しているように聞こえた。その音からジェット機は複数で、3機以上だと思った。

2.航空機の音が大きいので、ロジャースは外に飛び出した
 航空機の音で家が振動した。あまりに激しいのでロジャースは右(南)の方に数歩歩き、木が邪魔にならない位置から空をみることができた。仰角35〜45°南南東の方角に飛び去ろうとする戦闘機が見えた。航空機の後部が真後ろから見えた。アフターバーナー(オレンジがかった白い炎)が点火されていて、2,3秒でそれが消えた。衝撃音はなかった。戦闘機は高度3,000フィートの高度を水平飛行(気象報告では3,500フィートからちぎれ雲がある)し、約11秒間見えていた。ロジャースは家に戻った。

3.目撃
 3-5分間、まったくジェット機の音が聞こえなかった。遠くのジェット機の音も聞こえなかった。その後また前と同程度まで音が大きくなってきた。ロジャースは何が起きているのか見ようと外に出た。
 彼は外に出て、右(南)の方に歩いた。大きなジェット機の音が聞こえていたが、今度は何も見えなかった。それから、彼は左(北)の方に歩いた。このとき、彼はものすごい速度で移動する薄い青色の光体を目撃した。彼には、光体は簡単に浮遊して移動しているように感じられた。高速ではあったが、流星ほどではなかった。
 最初目撃したとき、光体は仰角35°、北東にある木の上にあった。このとき、光体は下向きに移動し、ローラーコースターのように上昇した。ロジャースは、光体が1秒間に高度5,000フォートから3,000フィートまで、高度を2000フィート下げ、それから高度を、おそらく3,500フィートまで上げたように思った。それから、東南東方向、仰角約85°で、推定距離3,500フィートを飛行していた。そこは、ロジャースから約30フィートのところにある落葉樹で見えにくい。
 最初に目撃してから木が邪魔になる位置まで3〜4秒*だと推定している。
 速度は一定で、光体に関係する音がなかった。この時は、航空機は見えておらず、ジェット機の音は聞こえていたが、近くに見えなかった。
 ロジャースは、南に走り、光体を南西方向水平から約45°の位置に再度目撃した。光体は遠ざかっていた。
  光体を再度目撃してから約3秒*して、軍用機がロジャースの後方にある彼の家の上空に飛んできた。北からやってきて、青い光体を追跡した。光体と航空機は、どちらも南西方向の経路をとっていた。ロジャースは、目撃し続けようとして通りに出た。
 航空機は約22秒*見えていた。青い光体は、約5〜6秒見えていた(航空機は光体よりずっと大きいので長く見えていた)。光体と航空機はどちらも遠ざかって見えなくなった。
 ロジャースは、航空機がいつから光体を追跡しはじめたのかわからなかった。しかし、彼の家の上空に現れたときには、光体を追跡していたと確信している。
 青い光体が追跡しているジェット機よりもずっと速いので、追いつけなかった。航空機はアフターバーナーを使用せずに、青い光体を、両者が南西の空に消えるまで追跡した。ロジャースはそれらは1,000〜2,000フィート離れていたと推測した。彼は両者は同高度にあったと思った(これは視角から考えて、不正確な推測である。JW)
 航空機が光体を水平飛行して追跡したとき、続けて翼を少なくとも4回振った。青い光体はときどき短時間暗くなったが、これはその高度に若干雲があったからかもしれない。戦闘機の方は光体よりずっと大きかったので、そういうことはなかった。

光体についての記述
 色はかなり薄い青色で星のような感じだった。物体を追跡している航空機の赤い翼端灯の2、3倍の大きさ。光体にははっきりした輪郭が見えなかった。旅客機の標識灯あるいは無線塔のライトの輪郭はもっとはっきり見えていた。

光体の点滅:
 光体は約1.5秒周期で点滅していた。明るさは一定だった。その点滅周期を高空を飛行する旅客機の標識灯と比較したが、異なっていた。ロジャースは、光体の(挙動ではなく)特性を、上空に上がったヘリウムの風船の(緑というより)“青い”発光スティックのようだったと述べている。
 彼はその光体が何かに取りつけられたものではないと感じた。もしそれが暗い物体に装着されたものだとすれば、それが見えたはずだが、見えなかったからである。

*時間はすべて、ストップウォッチを使った再現による推定

この事例の調査

 私はレニー・ロジャースに電話で3回(7月26日27日29日)インタビューした。それから2002年7月31日に彼の自宅で直接会って話を聞いた。

NORAD

 私は7月26日にバリー・ベナブル少佐と話した。彼は“D.C.上空での不審な行動”を調査するため、午前1時頃、アンドリュース空軍基地から2機のF-16がスクランブル発進した、と話した。
 彼らは何も見つけられず、基地に引き返した。私はウォルドーフ上空での行動について質問した。彼は、そこはアンドリュースに近く、帰投するとき上空を飛んだかもしれない、そして燃料を消費するためにアクロバチックな飛行をした可能性もあると話した。
 私は、F-16が前方に光を投影するようなことはあるか尋ねた。彼は、ない、と答えたが、かすみがかかった天候下である角度から見た場合に、アフターバーナーは青く見えると言う。
 スクランブルに関しては、“不審な飛行活動”があったという以外の情報を彼はもっていなかった。
 7月29日に彼は、私が知っていることや疑問点をeメールで送るよう連絡してきたが、そのときベナブル少佐と再度話した。しかし、そのときは「2002年7月26日午前0100、レーダーが正体不明の航空機を捕捉したあと、2機のF-16がアンドリュースから発進した。正体不明の航空機の航跡は、その後レーダーから消えた。F-16は調査したが異常なものは何も見つけられなかったので基地に帰投した」という情報が得られただけだった。軍事機密という理由で、他に詳しいことは話してもらえなかった。

レーダー捕捉

 私は非常に優秀なレーダー技術者である知人とコンタクトをとり、NORADのレーダーに関するコメントについて彼の意見、特に、NORADが正体不明の航空機をレーダーで捕捉したと述べているが、それはトランスポンダーを搭載した目標だったのか聞いた。彼の意見は次のようなものである。
・地上の移動目標はレーダー反射の原因となることがある。雨風、木、鳥、昆虫の群、――移動するものは、ドップラー反射の原因となり、低速で低空飛行する航空機と誤認する場合がある。
・“航空機”という用語は、必ずしもトランスポンダーからの応答があったことを意味しないと思う。
・戦闘任務航空部隊の記録には、迎撃管制官戦闘機を発進させたが何もなかったという事例はたくさんある。

F-16が追跡したのは何だったのか?

F-15のパイロットの考え

 ジム・キャノンはF-15の元パイロットだが、F-16のパイロットが何をしていたのか彼の考えを聞いた。彼は次のような意見である。
・戦闘機が“バーナー最大”であれば、ジェット噴出炎は外に広がり、バーナーは地上からよく見える。もし戦闘機が“バーナー最小”だったら、ジェット噴出炎は、内側に留まり、機が地上の目撃者から遠ざかる位置関係からのみ見える。
・1機の戦闘機がアフターバーナーを使い、もう1機が使用しないというのは、通常、相対速度を調整して、2機の距離を変えたい場合である。一般的には、着陸前に燃料を消費するためにアフターバーナーを使用することはない。
・翼を振る動作は、後続機あるいは並行している僚機へのシグナルである。すなわち、パイロットがターンを少し調整しようとしたときに行われる。何回か翼を振るのは、ターンの進路が不確定で、様子をみている状態である。この事例では、後者の状況だったというのがもっとも適した説明のように思われる。

ドン・レッジャーの意見

 ドン・レッジャーは、民間の空中捜索および救出の地区指揮官として長年空軍と仕事してきた人物である。彼はセスナ17や他の軽飛行機を20年間所有し飛行している。彼はF-16のパイロットの挙動を、要約すると以下のようにコメントしている。
・F-16がアフターバーナーを使用していたのであれば、普通は、ものすごい速度で上昇あるいは追跡しようとしていたのであろう。アフターバーナーを作動させると、排気管に燃料が突然注がれ爆発音が生じ、激しく燃えるオレンジや赤に見える。アフターバーナーを使わない場合は、炎のコロナは青で、内側は黄色である(ロジャースは“爆発音は聞いていない。ロジャースとアンドリュースAFBの間に位置していたディルマンは聞いている”――JW)。
・安定した大気の中を、後続機が先導機に十分接近しているか、やや後ろの位置にいた場合、先導機から流れる空気の渦が、後続機にあたることになる。しかし、その結果、翼を揺らすようなことにはならない。
・F-16が前方の機の影響を受けたのであれば、その機の飛行形態がどういうものだったのだろうか。渦は通常、高圧(翼の下)と低圧(翼の上)の空気の流れが翼端の後縁でぶつかって合成された結果で生じたものである。
 もし、F-16が前方の機の影響を受けたのなら、追跡していたのは通常の航空機だったのだろうか、という疑問が出てくる。しかし、もしそれが異常な航空機であれば、そういうことはあり得る。空気中を移動する物体はたいてい渦をつくるのである。
(私がこの件を調査しているときに考えたのは、前方にホログラムのような像を投影するある種の目標指示あるいは距離測定装置をF-16が搭載していないのだろうか?ということである。JW)

他の目撃者は?

 7月26日の深夜に仕事中だったWTOPラジオレポーターエイミー・モリスは、そのとき2件の電話がラジオ局にかかってきたと話している。1件はレニー・ロジャースからのもので、午前1時半から2時の間にかかってきた。もう1件も1時半から2時の間で、明るいオレンジ色の滑らかな球体が滞空しており、ジェット機が追跡したとき、移動を開始したが、静かで高速だったと話していた。電話をかけてきたのはゲーリー・ディルマンで、彼の証言が新聞に掲載された。新聞記事(メリーランド・インディペンデント、2002年7月31日A-1ページとA-9ページ)には、ロジャースの目撃とゲーリー・ディルマンの目撃を報告している。ディルマンはメリーランド州ブラディーワインで保安業務を行っていた元警察官である。
 ブラディーワインは、アンドリュースAFBの南南東約6マイル、ウォルドーフの北北東約5〜6マイルで、両者のほぼ中心に位置している。MUFONのメンバーであるディルマンは、1時にジェット機のスクランブルに気づいた。そしてそれらが低空を飛行し、編隊飛行のパターンではないと報告した。
 それから、ジェット機を見ていると、ディルマンは、ウォルドーフ上空にオレンジ色の発光球体を目撃した。その球体は、彼の方に移動し、それが雲の外に出たとき明るくなった。戦闘機はオレンジ色の球体の方に旋回し、球体はジェット機から離れるように急旋回した。球体の速度は一定で、静かだった。
 午前1時40分頃再びディルマンはさらに追跡劇を目撃した。それから、1時55分頃まで、彼は戦闘機がアンドリュースの方に引き返す様子を見ていた。
 ゲーリーの目撃の詳細は、このサイトの別のページに掲載する。
 目撃の日である7月26日に、、ケニー・ヤングは、チャールズ郡保安官本部に電話し、目撃時刻には非番だった担当官と話した。彼は簡単に記録を調べたが、異常な光体についての報告に関するものは見つからなかった。
 ケニーはメリーランド州警察チャールズ郡支所に問い合わせた。彼が話した通信担当者は問題の時刻に勤務中だった。しかし、異常な光体に関する報告は受けておらず、警察官からもそういう報告はなかったと話していた。

Joan Woodward
Fairfax, VA
August 8, 2002

 

50年前の同じ日に起きたワシントンUFO事件については、当時空軍のUFO調査プロジェクトを指揮していたルッペルト大尉の未確認飛行物体に関する報告が詳しい。またレーダー捕捉UFO事例の研究では、ワシントンUFO事件で観測されたレーダー上の機動を詳細に分析している。


SSPCのUFO書籍・資料
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「ブルーブックケースファイル」 「米下院UFOシンポジウム」 「コンドン報告第3巻」
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