未確認飛行物体の科学的研究(コンドン報告)第3巻
>第6部第10章 統計分析   ポール・ジュリアン


1.序

おおむね,統計は他の方法が有効でないときに用いられる研究方法で,多くの場合最後の手段であり,絶望的な行動である.

M.J.マロニー著“Facts from Figures( 数字の真実)”

 統計分析は不確かさを量的に処理するものと言ってもよい.広い意味では,もちろん上記にとどまるものではない.多くの人々にとって“統計”という言葉は“データ”の同義語であり,統計分析を行う人の大部分はデータの収集,整理に関心がある.しかし,そのように処理されたデータが仮説を定式化し検証するために使われる場合,すぐに確率が必要とされ,不確かさの定量的扱いが始まる.不確かさを扱う際に不快感が生じ,その上統計の知識が不十分だと,マロニーのような考えが出てくるのであろう.多くの人々,中でも科学者は不確かさを扱う際に居心地の悪さを覚え(自覚してないにせよいつもそう感じている),その結果統計に対する彼らの意見にはいくらか偏見が混じっている.
 ここで興味があるのは,UFO目撃がどのように報告されたかということではなく,UFO目撃報告の統計分析はその現象の正体解明に有益なのかそうでないのか,ということである.初めに,UFO現象を研究することと,人々がどのようにUFOを報告するかを研究することを区別する.この二者を完全に分けることはできず,さらに前者は後者のことをかなり理解していないと不可能なように思われる.しかしながら,このような試みはなされており,おそらく将来的にはUFO現象の研究に統計的な目撃報告データが使われるだろう.なぜなら,このデータ源は問題を解くために入手できるどんなものよりも大きくかつ包括的だからである.それゆえこの章では,UFO現象の研究における統計的な方法の役割を主題とする.
 統計は不確かさを扱うため,UFO研究の主要な方法として魅力的な候補に思えるかもしれない.この章の目的はUFO問題の研究における統計分析の位置について検討することである.我々が特に注目するのは,仮説の検証とその手順であり,単なるデータの収集についてではない.(後略)



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