(前略)タキトゥスによる紀元前373年のアカイア地震に関するものが,この現象のもっとも古い記述である.日本でも,大地震のときに発生した発光現象が多数記録されている.
1257年に鎌倉で発生した地震では,地面の裂け目から出現した青みがかった炎が目撃された.
1672年冬,江戸を襲った地震の記録には,空飛ぶ発光物体のことが書かれている.提灯のような火球が東の方に飛んでいるのが目撃されたという.
1698年の土佐の地震の時には,車輪のような形状の多数の火球が,異なる方向に飛んでいくのが目撃されている.
1730年(訳注:正しくは1703年)12月31日に東海道で発生した元禄大地震では,その前夜に光る“物体”と光る“大気”が報告されている.その後,約20日間にわたって幕電光に似た発光物体のようなものが目撃された.それは雲がないときも見えていた.
1847年に信濃で発生した地震の記録には次のように記述されている.「暗い空の下,飯綱山の方に燃える雲が現れた.ぐるぐる回るのが見え,そして消えた.その後すぐに轟音が聞こえ,大きな地震が起きた」
1830年夏,京都では,地震の前夜,全天に発光現象が起こったことが報告されている.時々地上から光が放射された.その光は昼と同じぐらい明るかった.
1923年の関東大震災の時には,中央気象台の職員が東京の空に静止する火球のようなものを目撃している.
1930年11月26日に伊豆で起きた地震のときは,その時発生した大気の発光について詳細に調査されている.このときは多くの目撃報告が集められた.地震前日の午後4時,多くの漁師が天城山の東の方に,北へ向かって信じられない速さで移動する球状の発光体を目撃している.火球(球電)と発光する雲が何度も目撃された.サーチライトの光のような漏斗状の光も目撃された.青色,白色の光と報告している目撃者が多かったが,中には赤色あるいはオレンジ色だったという人もいた.(後略)
未確認飛行物体の科学的研究(コンドン報告)第3巻
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