1.序
この章では,レーダーによるUFO観測に関連する,レーダーの能力とその限界の研究について述べる.
この研究は,米空軍の委託契約として,コロラド大学がスタンフォード研究所に依頼し,1967.6.23付の契約書(契約番号73403)に基づいて行われたものである.
前章,ウィリアム・ヴィジーによる“蜃気楼”は,大気による光の屈折で生じる光学現象に関するものであった.本研究は他でも利用可能なので,その研究内容は契約に従って,コロラド大学研究プロジェクトに非公式に伝えられていた.
この章の目的は,
レーダーの原理の理解
さまざまな条件下で検出可能な目標のタイプ
研究を要する特殊なレーダー報告の基本的要素
を示すことである.
個々のUFO事件の研究は,コロラドプロジェクトが行っている(第3部第5章参照).
一般には,レーダーによるUFOの観測は,客観的で,誤認がなく,レーダーは反射体までの距離,高度,速度のような,反射体のデータをまとめて表示するように思われている.
しかし,レーダーは,機械的,電子的には目標を正しく表示していても,肉眼で目標を見た場合のようなわかりやすいものではない.この高度な技術は,誤解を招くようなトラブルや異常に影響されやすいのである.
この章では,UFOおよびUFOだと判断してしまう目標をレーダーが捕捉した場合,レーダーの原理をどのように適用すべきかを考察する.そして,本物のUFOを確認するための,複数の方法による判断基準を示したい.このとき,UFOがどういう性質をもっているのか,という点については仮定をおかず,目標捕捉の原理や,目標が示した行動を明らかにする方法,にのみ限定して述べることにする.つまり,実際に存在する目標,および目標が表示される機構の両方について,レーダーの目標捕捉の性質を物理学的に述べるにとどめる.それが特異な事例を再調査する際に役に立つことを望んでいる.
物理学の枠内では説明できない目標の性質をレーダーが確認した場合があったとしても,その観察された性質を解明することは不可能である.
それは未確認目標として残されることになろう.
未確認飛行物体の科学的研究(コンドン報告)第3巻
の目次に戻る
|