0.序
未確認飛行物体を研究している科学者たちは,難題に直面している.評価可能な“ハードなデータ”,つまりUFOの破片や本物の宇宙人が回収,捕獲されていないため,科学者たちは情報源として信頼性の低い目撃報告に頼るか,調査自体を断念せざるをえない.科学者は,再現性があり,実証可能なデータ,他の科学者が検証可能なデータでなければ納得しないのである.
もちろん,この難題を切り抜けるには,“ハードなデータ”のみを扱い,目撃報告を扱わなければよい.目撃報告は誤解したものであることが多く,“証明”が不可能で,“変人”からのものも多い.
だがこのような対応は,何も考えずにどんな目撃報告でも認めるのと同じく,真理の探究の妨げとなる.UFO現象を解明しようと地道に努力する,偏見のない研究者であれば,目撃報告が現時点で唯一の情報なら,それを却下することはない.同時に,十分な調査が行われていない報告は誤認の可能性が高いので,それを認めることもない.目撃者の信頼性を調査したウォーカー(1968)の論文で提案されているように,目撃報告はまず“好意的かつ懐疑的”に評価するのかよいと思われる.
知覚は,人間が感覚刺激を意味あるものに,選択,系統立て,解釈する,非常に複雑な過程である(Berelson, 1964).知覚は感覚データそのものより複雑である.知覚は,このデータの選択,解釈を行う.また,同じ出来事を見て,他人とまったく異なる知覚が生じるのは,この感覚を評価する部分で起きることが多い.UFO研究にとって重要な,誤った報告となる主な原因は三つある.
1.現実の刺激を誤認(第6部第1,2章参照)
2.現実ではない刺激を現実と知覚
3.意図的な偽証
未確認飛行物体の科学的研究(コンドン報告)第3巻
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